アクロニス日本法人社長が語る「パートナービジネスの勘所」とは

AI要約

アクロニス・ジャパンとキンドリルジャパンのキーパーソンたちが最近の活動について明言した内容を紹介。

アクロニス・ジャパンの代表取締役社長がパートナー企業との協力によるIT保護サービスの効率化に注力していることを明言。

会見で述べられた内容やビジネスモデルについて解説し、日本市場における注目すべき点について考察。

アクロニス日本法人社長が語る「パートナービジネスの勘所」とは

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、アクロニス・ジャパン 代表取締役社長の川崎哲郎氏と、キンドリルジャパン 理事 セキュリティ&レジリエンシー事業部長の増田博史氏の「明言」を紹介する。

「パートナー企業が効率良くIT保護サービスを提供できるように努めたい」(アクロニス・ジャパン 代表取締役社長の川崎哲郎氏)

 Acronisの日本法人であるアクロニス・ジャパンは先頃、同社が推進する「サイバープロテクション」ソリューションの強化について記者説明会を開いた。川崎氏の冒頭の発言はその会見の質疑応答で、同社のビジネスモデルの特徴であるパートナーエコシステムの勘所について聞いた筆者の質問に答えたものである。

 会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは川崎氏の冒頭の発言に注目したい。

 Acronisが推進するサイバープロテクションとは、バックアップとセキュリティを融合したソリューションのことだ。2003年設立のAcronisは当初、バックアップソリューションのベンダーとして活動していたが、その後、セキュリティ分野にも進出し、サイバープロテクションと銘打ってソリューション(ブランド名は「Acronis Cyber Protect」)を展開。クラウドサービス(同「Acronis Cyber Protect Cloud」)としても提供している。今では150カ国を超える75万社以上に利用されており、2万社を超えるサービスプロバイダーとのパートナーシップを通じて、大手だけでなく中小規模の企業にも広く使われている(図1)。

 Acronis Cyber Protectソリューションの内容もさることながら、同社のビジネスモデルとして筆者が注目するのは、パートナー企業であるサービスプロバイダーが同社のソリューションを適用して、顧客企業のIT環境をリモートで総合的に保護する形をとっていることだ。顧客企業からすれば、自社のIT環境全体の保護を契約したサービスプロバイダーに委ねることができる。つまり、Acronisはソリューションだけでなく、顧客企業のIT環境全体を保護するためのパートナーエコシステムをビジネスモデルの基本としているのだ。

 この点については川崎氏も、「当社はサービスプロバイダーとのパートナーシップを中心とするビジネスモデルだ。日本市場を非常に重要な市場と捉え、パートナー企業の支援に手厚い投資を行っている。具体的には、共同セールスをはじめ、マーケティングキャンペーンおよびプロモーション、ウェビナーやイベントの共催、さらにはサービス使用量ベースに基づいてパートナー企業とお客さまの間で料金設定についても相談していただけるようになっている」と力を込めた(図2)。

 ただ、この分野も含めたIT市場では、外資系ベンダーはどこもパートナービジネスを中心にしている。そうした中でAcronisのビジネスモデルにはどのような優位性があるのか。何が勘所なのか。会見の質疑応答でそう聞いてみたところ、川崎氏は次のように答えた。

 「パートナーであるサービスプロバイダーが当社の製品やサービスを商材として、エンドユーザーであるお客さまに最適なソリューションを提供する。そのために当社としては、サービスプロバイダーが効率良くIT保護サービスをお客さまに提供できるように努めていきたい」

 冒頭の発言は、このコメントから抜粋したものだ。つまりは、パートナーシップの「深み」が違うということか。この点はローカルでも追求できるところだ。日本法人を率いる川崎氏の経営手腕に注目していきたい。