【ダービー】シュガークン武豊「何回でも勝ちたい」キタサンブラック半弟と前人未踏の7勝目へ

AI要約

武豊騎手が35度目のダービーで7勝目を目指し、シュガークンに騎乗。年長Vとして世界の競馬史に名を刻む夢を抱く。

シュガークンはキタサンブラックの半弟であり、成長を感じさせる素質を持つ。武豊騎手が今回のダービーについてコメント。

歴史を塗り替えてきた武豊騎手が、青葉賞を制したシュガークンと共に、大一番での勝利に挑む姿勢を示す。

【ダービー】シュガークン武豊「何回でも勝ちたい」キタサンブラック半弟と前人未踏の7勝目へ

 世界の競馬史に名を刻む年長Vへ-。JRA通算4502勝のレジェンド武豊騎手(55)が、頂上決戦ダービー(G1、芝2400メートル、26日=東京)で前人未到の7勝目に挑む。自身35度目となる大一番では、トライアル青葉賞を制した良血シュガークン(牡、清水久)に騎乗。かつて主戦を務めたG17勝馬キタサンブラックの半弟とともに、また競馬史を塗り替えるか。

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 薫風吹けば、血が騒ぐ。今年もまた、そんな季節を迎えた。第91回東京優駿。35度目の騎乗となる頂上決戦だ。すでに生ける伝説となった武豊騎手にとっても、特別な週が始まった。歴代最多6勝の偉業にもまだ満足はない。涼しい顔で熱い思いを言葉にした。

 「何回でも勝ちたいですよ」

 そう、何歳でも勝ちたい。近年における主要国のダービーで最高齢勝利記録として名高いのが、86年にケンタッキーダービーをファーディナンドで制したW・シューメーカー騎手の54歳8カ月。今年3月に55歳を迎えた日本のレジェンドは、世界の競馬史に名を刻む“年長V”の夢も背負っている。

 相棒も血を沸き立たせている。かつて手綱をとった顕彰馬キタサンブラックの半弟にあたるシュガークン。偉大な兄が生涯最悪の敗戦を喫したのが15年ダービー(14着)。さらに、そのダービーを含め、同年の春2冠を制したドゥラメンテを父に持つ。2戦目から3連勝で4戦4連対。成長の途上とはいえ、秘めたる潜在能力を実感する。

 「体形も乗った感じも(キタサンブラックとは)違うけど、素質はすごくありそう。心肺機能も高いと思った。最初は乗りにくかったけど、だんだん乗りやすくなってきた。違う競馬場で違う距離で勝ってきて、キャリアは浅いけどレース内容はいろいろ経験してこられている。2月デビューでよく間に合ったよね」

 数々の歴史を塗り替えてきた第一人者が、今年も競馬界の常識に挑む。青葉賞ウイナーは勝てない-。これまで6頭の2着が最高だ(重賞になった94年以降)。「勝っちゃいけないレースを勝っちゃったみたい」と笑って切り出すと、冷静な分析と勝算を口にした。

 「ジンクスかというと違う。普通に考えると皐月賞に出られたら出るけど、出てないわけだから。(青葉賞とは)レベルが違う。でも、相手がものすごく強い中で、楽しみはある」

 決して主役として舞台に立つわけではない。ただ、脇役のまま終わるつもりなどない。日本中のホースマンが憧れる大一番で、世界も驚くアンチエイジングを披露する。【太田尚樹】

 ■武豊騎手 一問一答

 -前走を振り返って

 権利をとらないと(ダービーに)出られなかった。きっちり勝って結果が出てよかった。内容も良かった。最後を楽に勝てたらもっと良かったけど。

 -1週前の追い切り(Cウッド6ハロン81秒9-11秒1)に乗った感触は

 変わらずいい感じ。間隔も空いていないし、変わりなく順調。

 -初戦から手綱をとってきて感じる変化は

 最初は乗り難しかった。前向きさもなかったけど、今は元気すぎるぐらい。レース当日のテンションも上がってきているけど(1週前追い切りでは)おとなしく落ち着いていた。

 -いよいよダービーだ

 どの馬も新馬の時から目標にするレース。この馬も2戦目で勝った時に(ダービーを)意識した。

 ◆ダービー最年長V 武豊騎手は53歳2カ月15日だった22年にドウデュースで制し、増沢末夫元騎手の最年長勝利記録(48歳7カ月6日=86年ダイナガリバー)を更新した。世界の競馬史を見ると、1829年の英ダービーを調教師兼任で勝ったJ・フォース騎手が60歳以上だったとされる。主要国以外では、00年ハンガリーダービーをP・カライ騎手が67歳で制した例がある。

 ■シュガークンこの日は馬房でリラックス

 史上初となる青葉賞からのダービー制覇を狙うシュガークンはこの日、馬房でリラックスしていた。宮本助手は「いつも通り落ち着いている。追い切りはどんどん動けているし、良くなっている。見た目の疲れは感じない」と様子を伝える。その青葉賞は頭差の勝利。「ダービーも目指していたからメイチではなかった。注文をつけるところはないから、あとは相手関係と展開」と話していた。