レジェンド武豊を「二刀流」熊沢重文さんが直撃! 競馬学校時代からの付き合いの2人が語った”日本ダービーとは”

AI要約

元祖二刀流がレジェンドを直撃した。熊沢重文さん(56)が武豊騎手(55)に初の単独インタビューを行い、ダービーに挑むシュガークンの準備状況や期待について語った。

シュガークンは若い馬ながら変幻自在なレース展開で成長を続けており、武豊騎手も万全の状態でダービーに向かっていることを述べた。

ダービーへの挑戦は厳しいが、シュガークンの成長と強い血統に期待が寄せられ、今年の青葉賞組のダービー連敗を止めることを目指している。

レジェンド武豊を「二刀流」熊沢重文さんが直撃! 競馬学校時代からの付き合いの2人が語った”日本ダービーとは”

◇20日 「第91回日本ダービー」(G1・26日・東京・芝2400メートル)

 元祖二刀流がレジェンドを直撃した。平地、障害レースの両方で活躍し、G1、障害重賞を予想する土曜日の紙面「競馬しようぜ!」でおなじみの元騎手の熊沢重文さん(56)が初の単独インタビューをした。いよいよ今週末に迫ってきた「第91回日本ダービー」でシュガークンに騎乗する武豊騎手(55)=栗東・フリー=にロングインタビュー。二刀流は前人未到のJRA通算4500勝を達成したレジェンドの胸の内をどう引き出したか―。

 熊沢さん(以下熊沢) 公式でのインタビューは今回が初めて。初めてが豊くん(武豊騎手)というのは光栄だよ。

 武豊騎手(以下武豊) (笑顔で)熊沢さんの初めてになれてうれしいですよ。

 熊沢 それにしても、お互いの付き合いは長いよね。

 武豊 競馬学校時代から。僕が(1987年卒業の)3期生、熊沢さんは一つ上の先輩でした。

 熊沢 豊くんが(競馬学校に)入ってきた時「すごいのが入ってくるぞ」ってうわさにもなっていたぐらい。

 武豊 熊沢さんとは師匠(内藤繁春元調教師)と僕の師匠(武田作十郎元調教師)も特別、仲が良かったですから、交流することは多かったですよね。うちの先生は何も言わない方だったけど、熊沢さんの師匠は厳しかった。そのイメージが今もありますねえ。

 熊沢 確かに厳しかった(と笑顔)。昔話ばかりだとインタビューが終わらないのでこのあたりで。今回は豊くんがシュガークンで挑むダービーの取材だから。本題に入るね。

 武豊 (ほほ笑んで)はい。いよいよダービーですね。

 熊沢 僕はダービーに乗っていない。(騎手を)引退した今でも乗りたかったと思う。

 武豊 熊沢さんは有馬記念もオークスも勝っている。でも、ダービーへの騎乗がかなわなかったと知ってびっくりしました。

 熊沢 ダービーは重みが違うから。

 武豊 業界全員の目標。僕も何回も乗せてもらって、何回も勝たせてもらっても思いは薄くならない。

 熊沢 どの季節でも我々はダービーを中心に考えてきた。

 武豊 そうですね。1年を通じてみんなどこかにダービーというレースは頭にあります。ジョッキーだと毎年、18人しか出られない。若い騎手は「ダービーに出たい」と話しています。

 熊沢 その中で豊くんは最多勝(6勝)、最多騎乗(34回)。

 武豊 ありがたいですよ。本当に。

 熊沢 今年はキタサンブラックの弟、シュガークンで挑む。豊くんにとっては少し、例年とは違うダービーじゃないかな。勝って勝ってというわけではなく、何とか間に合ったという感じだよね。

 武豊 2月デビューでぎりぎりという感じ。あの時期に初戦を迎えるという馬は(ダービーへ出走するのは)難しい。

 熊沢 普通は厳しい。

 武豊 最初は調教でもそこまで動いていなかったし、外にもたれたりして大変でした。だからデビュー戦は負けています。でも、2走目の未勝利戦(阪神)でガラッと変わりました。それぐらいにいい勝ち方でした。いい方向にスイッチが入ってくれた。1回使っただけでこんなに変わるかって思いましたよ。

 熊沢 3走目もあっさりとクリアした。

 武豊 高松宮記念の日に中京で2200メートルのレース(大寒桜賞)が。いいレースだな、と。勝てば青葉賞と考えていました。とんとん拍子で間に合った。

 熊沢 そういう馬って何かを持っているよね。

 武豊 ちゃんと順序を踏んで良くなった。違う競馬場で、違う距離で、違うレース内容でどんどん結果を出していった。良馬場でも道悪でも。ハナへ行っても抑えても。これまで僕があまり経験したことのないかなりの変わりようでした。

 熊沢 兄キタサンブラックと比べて。

 武豊 キタサンブラックはパワーホースという感じでしたから。ただ、僕がブラックに騎乗したのは古馬からでしたけど、最初は新馬を勝ったとはいえ、ひょろひょろだったと聞きますし、少し奥手の血統だったのかも。その意味でこの馬も2月にデビューしたばかりなのに、ぐんぐん良くなってきたのかも。教えたことをすぐに覚えてくれるというのはブラックと似ている。でも、たった3カ月。これだけ変わるか、というのが正直なところです。

 熊沢 青葉賞勝ち馬はなかなかダービーを勝つことができない。

 武豊 (笑顔で)勝ってはいけないレースを勝ってしまいました。でも、これはジンクスとかではないですよ。仕方ない部分もあります。完成されている馬、強い馬は皐月賞に出る。青葉賞はそこに出られなかった馬ですから。でも、同じ東京の2400メートルで勝ったというのは気分的に楽ですね。

 熊沢 1週前の追い切りも無事に消化した。

 武豊 良かったですよ。楽な手応えでいい動きでした。レース当日にテンションが上がりやすい馬ではあるけど、落ち着いていて感じは良かったです。

 熊沢 GⅠでさらに相手は強くなる。

 武豊 簡単にいかないことは分かっています。でも、そうやって成長してきた馬だけに楽しみですし、左回りの方が乗りやすい。この血統ですし。3連勝で挑めるわけですから。いい形でダービーへ向かうことができる。楽しみはあります。今年で青葉賞組のダービー連敗を止めたいですね。