木村庄之助、思い出の一番に21年名古屋場所千秋楽「立たせてもらえ感謝」行司人生定年の千秋楽前に回顧

AI要約

木村庄之助が引退を前にして50年の行司人生を振り返り、印象深い出来事に触れる

彼の行司としての功績や苦労、そして今後の大相撲界への期待について語られる

新たな時代の幕開けに向けて、木村庄之助の退職が大相撲界に与える影響が注目される

木村庄之助、思い出の一番に21年名古屋場所千秋楽「立たせてもらえ感謝」行司人生定年の千秋楽前に回顧

 ◇大相撲秋場所14日目(2024年9月20日 東京・両国国技館)

 秋場所限りで日本相撲協会を定年退職する立行司の第38代木村庄之助(64)=本名今岡英樹、島根県出身、高田川部屋=が千秋楽を前にした14日目の21日、東京・両国国技館で会見した。

 千秋楽の22日が65歳の誕生日。「偶然か必然か分かりません。反省の繰り返しが行司の人生。長かったです」。15歳で角界入りして以降の相撲人生を、最後は涙ながらに振り返った。

 50年の行司人生で、思い出の一番に21年名古屋場所の千秋楽結びを挙げた。横綱・白鵬(現宮城野親方)と大関・照ノ富士(現横綱)の全勝対決。白鵬が7場所ぶり45度目の優勝を達成した。

 「体が大きく手が長く、相撲は速い。両者の思いが詰まった相撲だったと思います。そこに立たせてもらった相撲界の方々に感謝します」。この取組を最後に白鵬は引退。照ノ富士は場所後に横綱昇進した。

 今年初場所で行司最高位の木村庄之助を襲名。15年から9年近く襲名する行司がいなかった。呼び上げ、勝ち名乗りの発声は一流。毛筆による揮毫(きごう)も達筆で知られた。一方、19年初場所から襲名した式守伊之助以降、立行司としての軍配差し違えは今年春場所千秋楽で12回に達した。

 苦しいこと、辛いことは「忘れる、忘れられなかったら発散する」を心掛けたという。会見には、出身地の島根県出雲市で昨秋実現した巡業の実行委員会から贈られた装束で臨んだ。「出雲は相撲発祥の地という使命感を勝手に持っている」。その中学時代は卓球部。当時培ったフットワークを行司としても意識した。「つま先が大事」とトレーニングに励んで乗り越え、21年名古屋場所千秋楽での裁きにも生かした。

 今後の大相撲界への期待も語った。「伝統ある番付が、ピラミッド式にきれいに整っていく社会であってほしい」。秋場所の番付は1横綱、2大関、4大関、2小結。その願いがかなう日はまだ遠い。