EV有利の高地でも“絶対王者”の強さは揺るがず。日曜はケビン・ハンセンが逆襲の初勝利/WorldRX第4戦

AI要約

クリストファーソンがモンタリグレで45勝目を収め、クリストファーソンとハンセンが日曜に勝利。

高地で行われたレースでEVの性能が注目されたが、クリストファーソンとハンセンが強さを見せつけた。

ケビンは初めての電動プジョー勝利を喜び、チームのサポートを強調。

EV有利の高地でも“絶対王者”の強さは揺るがず。日曜はケビン・ハンセンが逆襲の初勝利/WorldRX第4戦

 今季より持続可能燃料採用の内燃機関(ICE)搭載モデルと、電動最高峰の“RX1e”が混走する2024年WorldRX世界ラリークロス選手権の第4戦が、9月7~8日にポルトガルのモンタリグレにて開催され、レースウイークを前に標高1000mを超える高地決戦では「BEV優位」の声も囁かれていた。

 しかしダブルヘッダー緒戦の土曜は、そんな下馬評をも覆す強さを発揮した“絶対王者”ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロKMS 601 RX)が、サスペンション損傷のビハインドも跳ね除けての通算45勝目をマーク。続く日曜は、前戦で兄のサポート役に徹していたケビン・ハンセン(ハンセンWorldRXチーム/プジョー208 RX1e)が、宿敵に一矢報いる今季初優勝を飾っている。

 ポルトガルの名峰ヴィラ・レアル山脈に抱かれる海抜1000mに位置するモンタリグレは、WorldRXのカレンダーでもっとも長いメインストレートを持つことなどから、週末を通じて「EVの領域になるだろう」と言われていた。

 今季よりサステナブルフューエルによる内燃機関搭載モデルに回帰した35歳の6冠王者は、ヒートレースで難なく連勝を飾るもセミファイナルでの接触により足回りを損傷。この時点でファイナルに出走できなくなる恐れが出るなど不利な状況に追い込まれる。

 しかし家族経営の団結力を示したKMSのクルーによる懸命な作業の甲斐もあり、決勝を3番グリッドから開始したクリストファーソンは、スタートのターン1でアウト側から2番手に浮上すると、終始ニクラス・グロンホルム(CEディーラー・チーム/PWR RX1e)を追い詰めていく。

 ラスト2周で完璧なジョーカーラップを消化したチャンピオンは、そのまま逆転トップチェッカーを受けて今季7戦で5度目の勝利を収め、前人未到7度目の王座獲得まであと一歩という段階まで迫った。

「決勝に向け自分のクルマをグリッドに戻すという素晴らしい仕事をした後では、これこそが本当のチームの勝利だと断言できる」とメンバーのハードワークを労ったクリストファーソン。

「モンタリグレはドライブするのがとても楽しいトラックで、フォルクスワーゲンはつねにこのコースによく合っていた。僕らは過去数週間、できるだけ速く走れるようにすべてを見直し、検討してきた。ニクラス(・グロンホルム)は決勝で素晴らしいペースを見せたが、こちらも重要な場面で違いを生み出すことができたようだね」

■今季初優勝、そして電動プジョーでの初勝利に

 このファイナルで3位に喰い込み3戦連続のトップ3フィニッシュを果たしたケビンは、明けた日曜には兄の2019年王者ティミー・ハンセン(ハンセンWorldRXチーム/プジョー208 RX1e)とともに電動モデルの意地を見せ、ティミーが中間リザルト首位、ケビンがセミファイナルを制し、最終ヒートのポールポジションを射止める。

 ここで見事なチーム戦術を披露した兄弟は、先頭に立った兄がオーレ・クリスチャン・ベイビー(KMS・ホース・パワートレイン/フォルクスワーゲン・ポロKMS 601 RX)を抑え込む一方、オープニングでジョーカーをこなした弟が、チャンピオンとともにみるみる逃げ集団の背後に迫る。

 最終ラップでようやくジョーカーへ向かった先頭2台を悠々パスしたクリストファーソンとケビンは、チェッカーフラッグを前にプジョー208 RX1eがポロKMS 601 RXを仕留めることに成功。鋭いオーバーテイクを披露したハンセン・ブラザーズの弟がキャリア通算4勝目、今季初の勝利を手にした。

「チームは今週末、素晴らしい仕事をしてくれた」と興奮気味に振り返ったケビン。

「これが僕にとって電動プジョーでの初めての勝利だ。かなり時間が掛かったね! でもクルマは飛ぶように走り、とても自信があったよ。決勝では素晴らしい戦略を立ててもいたからね」

「ヨハン(・クリストファーソン)に対し防御しようとしたが、同時に防御しすぎると前にいる選手に追いつけなくなるから、あまり余裕はないこともわかっていた」と続けたケビン。

「モンタリグレのファンからは素晴らしいサポートを受けたし、彼らの多くは、父(ケネス・ハンセン)が過去にポルトガルで成功したことを覚えていると思う。彼らは週末を通してたくさんのエネルギーをもたらしてくれたし、それが本当に僕らの原動力になったんだ」

 このラウンドでタイトルが確定した各サポートリーズは、電動ワンメイクのFIA RX2e選手権をニルス・アンダーソン(チームE)が連覇、EuroRX1でもパトリック・オドノヴァン(チームRXレーシング/プジョー208WRX)がタイトル防衛を果たしている。

[オートスポーツweb 2024年09月10日]