「日本は“保守的”」、「どこからでも寄せるのがスゴイ」… 米通算2勝の2人が感じた“日本ツアーの隆盛”

AI要約

米国ツアー出身の女子プロゴルファーが日本女子プロ選手権に参戦し、日本のゴルフ界の盛り上がりを感じる。

米国ツアーで活躍する選手が日本選手のショートゲームの巧さに感心し、アメリカと日本のツアーの違いを語る。

大会でのプレーを通じて、日本選手との交流や独自のスタイルを認識し、最後まで全力で楽しんでプレーする意気込みを語る。

「日本は“保守的”」、「どこからでも寄せるのがスゴイ」… 米通算2勝の2人が感じた“日本ツアーの隆盛”

<ソニー 日本女子プロ選手権 3日目◇7日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6670ヤード・パー72>

女子プロゴルファーの日本一を決める大会に、今年は“アジア枠”として米国女子ツアーを主戦場にする3人の海外勢が参戦した。そのうちのひとり、米ツアー2勝を誇る31歳のジャスミン・スワンナプラ(タイ)は、日本のゴルフ界の盛り上がりを肌で感じる毎日を過ごしている。

「アメリカとは全然違うわ。ファンのみんながすごく大きな拍手をしてくれるの。ティショットを打ってボールが見えない時も『ナイスショット!』の声で、フェアウェイに行ったんだな、って分かるくらい。アメリカではまばらな拍手が聞こえるだけで、盛り上がっている感じもないし、日本の方が楽しいわね」

スワンナプラが「67」を記録した3日目のギャラリー数は2496人。猛暑の影響もあり、週末の国内女子ツアーとしては決して多い数字ではなかったが、米国ツアーはギャラリーが数えるほどしかいない、という大会も少なくない。気温だけではない熱気を、しっかりと感じている。

2011年の最終QTを経て、ルーキーとして米国ツアーに出場したのが12年のこと。今年が13年目のシーズンとなる。18年の「マラソン・クラシック」で初優勝を挙げると、翌年の「ドウ・グレート・レイクス・ベイ招待」で2勝目を手にした。今季のポイントレースは現在78位と、シード争いを続けるが、そのなかでも79.26%で11位につけるフェアウェイキープ率など、ショットの正確性を武器に米国で戦ってきた。

長年、米国ツアーの第一線で戦っている選手の目には、沖縄のコースでプレーした日本選手の姿も鮮烈に映った。「日本人選手はショートゲームがすごく上手。アメリカでプレーしている選手は、そうでもないの。日本の選手はどこからでも寄せてくるし、それはスゴイって思っているわ」。今回プレーして、特に印象に残ったのが「ヒナちゃん」。3日目に同組になった新垣比菜に目を奪われたという。「みんなショートゲームが上手いけど、きょう回ったヒナちゃんはチップインした場面もあって、アプローチが上手だなってずっと思いながら見ていた」。こうした技を武器に、ここ数年、日本人選手の米参戦への流れが作られていることも感じたはずだ。

日本選手のショートゲームに感心したのは、同じタイ勢のシャネッティ・ワナセンも同じ。こちらは米国で2季目を迎える新進気鋭だ。ルーキーイヤーだった昨年の「ポートランド・クラシック」で初優勝すると、今季も7月の「Danaオープン」を制した20歳は、「アキエと初めて回ったけど、パッティングがとにかく上手。全然かなわないわ。どうやってアプローチとパットを打っているのか教えて欲しいくらい」と、予選ラウンドで回った岩井明愛のプレーに感嘆の声をあげる。

岩井姉妹とワナセンは「トモダチ」という間柄。妹の千怜とはもともと面識があったが、明愛とは今年2月の「ホンダLPGAタイランド」で初めて話し、意気投合した。「アキ」、「プラウド(ワナセンの愛称)」と呼び合う仲だが、一緒にプレーしたのは今回が初めてのこと。実はその明愛もワナセンについて「アプローチがうまかった」と話していたのだが、それを聞くと「私なんかまったくかなわないわ」と謙遜し、ニッコリとほほ笑んだ。

日米ツアーのプレースタイルについては、こんな感想を抱いている。「大きく違うのはマネジメント。日本は“保守的”と感じたわ。アメリカはほとんどの選手がピンをダイレクトに狙うから」。もともとの飛距離、コースの距離などもあるが、その“攻撃性”の部分に特に違いを感じている。また「日本の選手をみると、独自のスタイルが作られていることを感じるわ。ウェアもそうだけど、マネジメントも。スイングは見ただけで『これは日本人選手だな』って分かるの」というのも、今回改めて認識した部分だ。

スワンナプラは、3日目を終えトータル7アンダーの12位タイまで順位を上げた。ワナセンはトータル2アンダー・43位タイで最終日を迎える。「今はまだコンディションがパーフェクトじゃないし、ミスショットを打ったりもするけど、楽しんでる姿を見てもらいたいわ」(スワンナプラ)。2人は、慣れない日本ツアーで、最後まで全力のプレーでコースを盛り上げることを約束した。(文・間宮輝憲)