徹底した対策。サッカー日本代表がロングボールを封じた方法とは? 「リスクヘッジだけは考えていた」

AI要約

サッカー日本代表はFIFAワールドカップ26アジア最終予選で中国代表に7-0で快勝し、前回のAFCアジアカップでの苦難から立ち直った。

試合ではロングボール対策が機能し、3バックの採用やボールを失った後の守備意識が高かった。

攻守において選手たちの貢献があり、細かい配慮と機転により大勝を収めた。

徹底した対策。サッカー日本代表がロングボールを封じた方法とは? 「リスクヘッジだけは考えていた」

 サッカー日本代表は5日、FIFAワールドカップ26アジア最終予選(3次予選)で中国代表と対戦し、7-0で勝利した。準々決勝敗退に終わったAFCアジアカップではロングボールに苦しめられたが、この日はそういった場面はほぼなく、完勝とも言える内容を見せた。

 

 前半こそ、スペースを埋めて守る中国代表を崩すシーンはあまりなかったが、中国代表が[4-4-2]から[5-3-2]に布陣を変えてきた後半は、相手の疲労や布陣の変更なども相まってゴールラッシュになった。

 大量得点に目が活きがちだが、今後に向けて大切な財産になるのは、無失点で終えられたことだろう。ワールドカップ2次予選では全試合無失点という偉業を達成したが、アジアカップでは5試合すべてで失点しており、イラク代表、イラン代表には敗れている。特に苦しんだのは、対角に放たれるロングボールだった。

 中国代表戦で、日本代表のロングボール対策は完璧に近かった。対策の1つは3バックの採用だろう。アジアカップでは相対的にロングボールに弱い菅原由勢や毎熊晟矢を狙われたが、3バックにしたことで最終ラインには空中戦に強い3人を並べることができた。相手のゴールキックの際は右ウイングバックの堂安律をターゲットにされていたが、遠藤航がスライドして競ることでウィークポイントを消している。

 また、「リスク管理のところ、特にボールを奪われたあとの切り替えの速さは良かったと思う」と板倉滉が振り返るように、ボールを失った直後、いわゆるネガティブ・トランジションの局面での守備意識は高かった。即時奪回できずカウンターを食らうような場面はあまりなかった。

 これについては前線の選手の貢献が大きく、板倉も「前の選手の戻りの早さは際立っていた」と評価する。前田大然や伊東純也、小川航基といった交代で入った選手も高い強度でプレスをかけ続けたことが結果的に相手を疲弊させ、試合終盤のゴールラッシュにもつながった。

 ゴールを重ねる中でも、守備への意識が薄まることはなかった。守田は「自分たちが好きに攻撃しても、失った後のカバーとか、そういうリスクヘッジだけは考えていた」と明かす。相手の守備ブロックを崩すためのアクションは臨機応変に行いつつも、ボールを持っていない選手が機転をきかせてリスクヘッジのためのポジショニングを徹底していた。板倉がキャリー(持ち運び)をすれば、反対サイドの町田は必ず戻り、守田が高い位置を取れば遠藤は最終ラインの前にポジションを取る。当たり前かもしれないが、そういう細かい配慮と機転が大勝の裏側にはあった。

(取材・文:加藤健一)