「このままじゃ終われない」上尾鷹の台、1-0で桶川に競り勝ち決勝Tへ

AI要約

第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選1次予選が行われ、上尾鷹の台が桶川を1-0で退け、決勝トーナメント進出を決めた。

上尾鷹の台の選手たちは早い時間の得点を奪う戦術を成功させ、集中力を保ちながら前にプレッシャーをかけ続けた。

チーム全体の意思疎通や一体感が勝利の要因となり、選手たちは勝利後もサッカーへの情熱を口にした。

「このままじゃ終われない」上尾鷹の台、1-0で桶川に競り勝ち決勝Tへ

 第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選1次予選が行われ、上尾鷹の台と桶川が対戦。試合は前半12分、上尾鷹の台、左サイドMF9中村悠里(3年)が中央にクロス。クリアボールのこぼれ球を最後はMF20大熊柊耶(1年)が流し込み先制。これが決勝点となり、上尾鷹の台が1‐0で桶川を退け、決勝トーナメント進出を決めた。

 勝った上尾鷹の台・横田遼一郎監督は「桶川さんには『前線に強い選手がいる』という情報があったのでシンプルにDFラインをはじいて、その裏を狙いました。われわれにも前に速い選手がいるのでチャンスを作ろうとしました。それが前半、うまくハマりました。後半は体力面で苦しさはありましたが、3年生が率先して声をかけてくれ、最後の決定的なシーンで身体を張ってくれました」と総評した。

 両チームともに、高くラインを設定しながら、互いのスペースの狙いあい。奪ってはカウンター。奪われても速いプレスと身体を張った守備となにかと上下に忙しい試合となった。ただ全体を振り返ると、チャンスの回数は上尾鷹の台。決定機の質では桶川の印象だった。

 横田監督が話した『前線に強い選手』桶川FW21大川煌生(1年)は前半36分、42分と2度、ヘディングシュートで決定機を作ったものの、あと数センチ及ばず、あるいはバーに嫌われた。上尾鷹の台としては命拾いをしたといえるが、最後まで引かず、前に押し出し、はじき返す守備が功を奏した。

 そのなか、上尾鷹の台を惑わしたのは前半12分という早い時間での得点。果敢に2点目を取りに行くのか。まずは1点を守るのか。

 「早めに先制して、失点してはいけない。でも追加点をとりたい、その両方が意識していたので、そのバランス、判断は難しかった」とキャプテンマークを巻いたMF9中村悠里(3年)。ただそうした余計な迷いはイレブン全体にはあまりなかった。

 DF10馬場惺琉(3年)は「たとえ先に点が取れても、みんなで攻めて、みんなで守るのが上尾鷹の台のスタイル。その点では意思疎通できていましたし、共有できたからこその結果だと思います」と要因を語った。

 今回の勝因を意志疎通に加え、もうひとつ挙げるなら、ピッチ内同様にベンチでも80分間絶え間なくイレブンを励ます声が続く、あの一体感だ。その源泉はなにか。

 「インターハイ予選で負けたことで、いまの3年生が『このままじゃ終われない』とキャプテン(MF9中村)の言葉に呼応して、(3年生が)残ってくれました。ほかの部活の生徒たちは引退しているなか、いろいろ悩みながらも悔しい思いをもって、試合に臨んでくれました」(横田監督)

 上尾鷹の台にはただの1試合ではなかったことがより伝わる。またそうした試合に勝ったことでイレブンにさらなる勢いがつく。

 「これだからサッカーはやめられない。サッカーは走って、戦って、ときに苦しいんですが、こうしてみんなで勝てたんで嬉しい!!」試合直後、DF5小野大寿(2年)の弾けた笑顔にサッカーの本質を見た。

(文・写真=佐藤亮太)