甲子園スカウトの熱視線と懸念…“ドラフト候補エース4人”に飛ばないバット「評価に影響ないが、スケールの大きい打者が育ちにくいのでは」

AI要約

今夏の甲子園は、低反発バット導入により長打が大幅に減少し、本塁打も16本も減少して最少記録となった。

突出した選手はいなかったが、投手の評価が高い。報徳学園の今朝丸裕喜投手や東海大相模の藤田琉生投手が注目されている。

今朝丸投手は技術や将来性を高く評価されており、藤田投手も急速に成長しており、プロの注目を浴びている。

甲子園スカウトの熱視線と懸念…“ドラフト候補エース4人”に飛ばないバット「評価に影響ないが、スケールの大きい打者が育ちにくいのでは」

 低反発バットの導入で今夏の甲子園は長打が大幅に減った。本塁打は計7本と昨夏から16本も減少。金属バットが使われるようになった1974年以降、最少となった。

 打球が飛ばなくなったことで、選手の評価が今までよりも難しくなると思われがちだが、あるプロ野球のスカウトは「結果を見て選手の能力を判断しているわけではないので、評価には特に影響はありません」と否定する。ただ、将来的に気になるファクターはあるようだが――。

 今大会にはドラフト1位で確実に競合するような突出した選手はいなかったものの、上位で指名される可能性がある投手は複数人いたという。その筆頭が報徳学園・今朝丸裕喜投手。初戦で大社に敗れたため、登板は1試合のみとなったが、プロで活躍できる力が十分にあると見ている。

「長身から投げ下ろす直球は角度がありますし、右打者にも左打者にも内外角に投げ分けるコントロールもあります。高校生なので体の線はまだ細いですが、筋力をつけたら球速も球威も増す伸びしろを感じさせます。変化球とのコンビネーションで三振を取れるところも長所です」

 今朝丸は大社戦に先発して、6回2/3を3失点(自責2)。初回に2点を失うなど立ち上がりは制球が安定せずに苦労したが、修正力の高さを見せて試合をつくった。左右どちらの打者にも直球で内角を突き、スライダーやフォークで空振りや凡打を積み重ねた。スカウトは安定感も評価する。

「2年生までは良い時と悪い時の差が顕著でした。今は調子があまり良くない時でも大きく崩れない技術や引き出しを身に付けました。理にかなった投球フォームで、リリースの感覚も優れているので計算できる投手です。高校生としては非常に完成度が高く、将来性も感じさせます」

 甲子園での登板も含めて、この春から夏にかけて一気に評価を上げているのが東海大相模・藤田琉生投手だ。

 今大会は3試合で計21回1/3を投げて、防御率0.84。関東一に準々決勝で敗れたが、存在感は抜群だった。スカウトは、その将来性にほれ込んでいる。

「大型左腕はプロで大成しないという声もありますが、身長198センチの左投手は、それだけで他の選手にはない武器になります。直球に角度がありますし、落差の大きいナックルカーブもおもしろいですね。二段モーションにしてから体重移動がスムーズになって、球に力が伝わってきました。まだまだ進化の途中で可能性を秘めているところも魅力です」

 藤田は自分でも認識しているが、下半身の強化や体力面に課題がある。だが、スカウトはこのようにも語っている。

「高校生を即戦力としてドラフトで指名するケースは、ほとんどありません。この数カ月で藤田投手は急速に成長しているので、どこまでの選手になるのか楽しみです。どこの球団も超一流に育てたいと考えますし、他球団に行ってほしくないとも思っているはずです」