「執念、魂、根性! これだけです!!」一見すると“昭和的”でもアプローチは“合理的”…夏の甲子園で感じた令和の若手監督「意外な共通項」とは?

AI要約

今年の夏の甲子園では、多くの話題が生まれ、史上初の決勝戦タイブレークや飛ばないバットが注目された。

昨年の甲子園で注目された「エンジョイ・ベースボール」から1年、今年は「表現力」が特に注目された。

感情豊かな監督たちやチームの躍進によって、今年の甲子園は熱量溢れる大会となった。

「執念、魂、根性! これだけです!!」一見すると“昭和的”でもアプローチは“合理的”…夏の甲子園で感じた令和の若手監督「意外な共通項」とは?

 京都国際の初優勝で幕を閉じた今年の夏の甲子園。史上初の決勝戦でのタイブレークや、今季から導入された飛ばないバットが注目されるなど、今年も多くの話題が生まれた大会となった。振り返れば昨夏の甲子園は、慶應義塾の107年ぶりの全国制覇と「エンジョイ・ベースボール」という言葉が社会現象になった大会だった。そんなエポックメイキングな出来事から1年――昨年からの大きな流れは変わらない中で、今年の甲子園で見られた「変化」とは何だったのだろうか? 《全2回の2回目/最初から読む》

 1年前の夏の甲子園では、優勝校の慶應義塾や準優勝校の仙台育英が脚光を浴びた。

 チーム力の高さはもちろんのこと、指導者たちの「エンジョイ」や「主体性」といった言葉も大きくクローズアップされた。

 一方で、その息吹は残しつつも、今夏の監督たちには昨年との違いを感じることもあった。

 それが、「表現力」だ。今年はとにかく感情豊かな監督が多かった。

 3回戦の早稲田実業戦を延長タイブレークの末に制し、32年ぶりの甲子園で93年ぶりのベスト8を決めた大社の石飛文太は、涙ながらに選手たちを称えていた。

 今年の甲子園に旋風を巻き起こした公立校の監督は、チームの躍進について聞かれると力強く答えていたものである。

「執念、魂、根性! これだけです!!  言葉の力は人を動かす。監督の自分が想いを込めて伝えることによって選手が動いてくれるというのはあると思いますし、うちの選手たちは本当にそれを体現してくれています」

 並ぶ昭和のフレーズ。しかし、実際のアプローチは令和と言っていい。32年ぶりの甲子園で地元・出雲から期待を寄せられるなか、監督は選手たちにこう言い続けた。

「“32年”とか背負わなくていいから」

 選手たちは、「初出場のつもりでやろう」という監督の号令によって島根大会同様の粘り強い野球を展開し、甲子園を席巻した。

 このような熱量の根源にあるものを明確に言語化してくれたのが、神村学園の小田大介である。チームを2年連続のベスト4へと導いた監督は、その情熱を真っ直ぐに伝える。

「監督が選手と同じユニフォームを着られるのは野球だけですから、同じ気持ちにならないといけないじゃないですか。選手がこんなに熱く野球ができるのは高校までだと思っていますんで、選手と一緒に野球ができる喜びを感じながら日々過ごしております、はい」