大の里が稽古総見で5勝4敗 好不調の差あり安定感欠く、見守った境川親方から消極性を怒られる

AI要約

関脇大の里は横綱審議委員会で9番取りを行い、秋場所に向けた準備を進めている。

大の里は自信と課題の両面を感じながらも、大関昇進を意識することなく臨んでいる。

稽古相手を選別する姿勢について様々な視点から注目が集まり、大の里に対する期待が高まっている。

 大相撲秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が29日、両国国技館の相撲教習所で行われた。成績次第で場所後に大関昇進の可能性がある関脇大の里(24=二所ノ関)は、幕内力士の申し合いで計9番取り、5勝4敗だった。

 秋場所で対戦する可能性が高い、三役陣や前頭上位を中心に胸を合わせた。ただ、東前頭2枚目の熱海富士に2勝2敗。けがから復帰して、番付を戻している途中の東前頭7枚目若隆景に1勝1敗と、圧倒するまでには至らなかった。一方でその2人に勝った相撲では、熱海富士を得意の右差しから一気に寄り切ったり、逆に若隆景を右上手を引いて左ハズ押しで何もさせずに土俵外に追いやるなど、随所で好内容の相撲を見せた。

 小結の夏場所は12勝3敗で、史上最速の所要7場所で優勝した。同じく成績次第で大関昇進もあった、関脇の名古屋場所は9勝6敗にとどまった。そんな場所ごとの成績の不安定さと呼応するように、この日の稽古の中でも好不調の波が出ていた。稽古後、手応えを問われた大の里は「しっかり、やるべきことはできたかなと思います」と、課題が出たことも含めて前向きに受け止めた。

 この日の狙いとしては「しっかり自信をつけたいと思っていた」という。自信と課題の両面が出た格好だが「時間はまだあるので、焦らず、明日から稽古をしっかり頑張りたい」と力説。大関とりの意識については「考えていない。気持ち的に楽になって頑張りたい」と、意識していないと強調した。「名古屋(場所)で1回、立て直しはしたけど、2桁(白星)には届かなかったですし、考え過ぎた部分もあったので、5月場所のように15日間思い切って取りたい」と、無欲で臨む決意だ。

 申し合い序盤には、見守っていた巡業部長の境川親方(元小結両国)から「大の里、お前、目の前だろ! かぶりついてでも、やらんか!」と、大声で注意された。目の前で申し合いが決着し、次の稽古相手として名乗りを上げる積極性を求められた。限られた時間内で、稽古する相手を見定めていた格好。ただ、現在両大関の琴桜と豊昇龍のように、がむしゃらに稽古し、大関をつかみ取るための貪欲な姿勢として、物足りなく映ったようだ。注意を受けたことについて大の里は「頑張ります」と、表情を引き締めた。秋場所の主役、さらには相撲協会の看板力士となる可能性が十分だけに、周囲の視線も徐々に厳しくなってきた。