肘の手術をきっかけに準硬式の世界へ...サヨナラ打を放った法政大の1年生を救った先輩のメッセージ<準硬式・全国大会>

AI要約

法政大が名城大を延長戦の末に下してベスト4進出を決めた。

城田悠晴のサヨナラ打が決勝点となり、チームメイトや監督から称賛された。

苦労を経て活躍する城田の姿から、チームへの貢献と成長が感じられる。

肘の手術をきっかけに準硬式の世界へ...サヨナラ打を放った法政大の1年生を救った先輩のメッセージ<準硬式・全国大会>

<文部科学大臣杯第76回全日本大学準硬式野球選手権大会:法政大7-6名城大>◇26日◇準々決勝◇さがみどりの森県営野球場

24日から始まっていた文部科学大臣杯第76回全日本大学準硬式野球選手権大会も、いよいよ準々決勝に突入。さがみどりの森県営野球場では、法政大が延長10回タイブレークの末に、名城大を下してベスト4進出を決めた。

6回表が終わって1対5と4点差を付けられたが、直後の攻撃で、8番・小林 然捕手(1年=花巻東出身)の適時打やスクイズで同点に追いつく。

その後、無死1、2塁からスタートする延長タイブレークに突入すると、5対6で迎えた10回裏、5番・野口 央雅外野手(2年=日大三島出身)の内野安打で無死満塁にしたところで、6番・城田悠晴内野手(1年=鳴門出身)がセンターへのサヨナラ打を放ち、死闘に決着を付けた。

「打った瞬間、『1人は還ってくるかな』と思っていましたけど、相手が飛び込んで、打球が後ろに転がっているのを見て、『サヨナラだ』って確信しました」

1塁ベースを回ったあたりで、勝利の瞬間を見届けた城田。野球人生で初となるサヨナラに「めちゃくちゃ嬉しいっす」と喜びをかみしめていた。

この試合、城田はスタメン出場ではなく、ベンチから戦況を見届けていた。ただ、「昨日から内田(遥己)さんの調子が落ちていたので、ずっと『いつでも出られる準備をしておけ」と言われていた』ということで、初回から素振りをして体をほぐしていた。

本間隆洋監督は「捉えた時の飛距離は光るものがある」ということで、1年生ながら春季リーグから4番抜擢。すると、いきなりリーグのベストナイン受賞と、城田は即戦力ルーキーとして華々しい活躍を見せていた。

それゆえに、城田のなかでプレッシャーが掛かっていた。

「ベストナインを取らせてもらったことで、自分の中で『やらなあかん』って思ってしまったんですよね。それまでは野球を楽しめていたのに、だんだんプレッシャーをかけてしまって、結果的に調子を落としてしまいました」

本間監督いわく、「真面目過ぎる選手です」という性格も関係しているだろうが、壁にぶつかった城田。夏場のオープン戦からベンチにいることが増えはじめ、「悔しい思いをしていましたし、『早く試合に出たい』って気持ちが強かった」と焦りを抱えながらベンチにいた。

そんななかで巡ってきたチャンスが名城大戦だ。途中出場だったが、自身の中で目標にしていた全国大会の舞台。力が入ってしまいそうだが、城田は冷静だった。

「普段から『力が入り過ぎている』ってことは周りから言われていました。なので、この試合は力を抜いて打席に立っていました。ベンチからの声も自分を冷静にさせてくれました。

なかでも、7回の打席のとき、森(涼太)さんから『お前が打てなくても、誰も責めへんから』って言ってもらえたんです。そこで思い切ってスイングできるようになりました」

力みが取れた城田はその後、10回に回ってきた打席で適時打を放ち、ヒーローになった。試合後には涙ぐむ姿が見られたが、今日にいたるまでの苦労を考えれば、自然と流れた涙なのだろう。

故郷・淡路島から鳴門へ進学して甲子園を経験したが、一方で肘の手術を受けるなど苦労もした。準硬式に進んだのも、肘への影響を考慮しての判断だが、「レベルは高いですけど、下級生から出場させてもらっている。楽しいです」と表情が少し緩んだ。

改めて野球の面白さをかみしめた城田。日本一まであと2勝、城田のバットから快音が響くか。グラウンドで城田の笑顔が見られることを楽しみにしたい。