健大高崎の春夏連覇を阻んだ智辯学園リードオフマン、スゴすぎる「1球への集中力」【夏の甲子園ピカイチ選手・8日目】

AI要約

智辯学園の佐坂悠登内野手が、一振りで試合の流れを変える勝負強い一打を放った。

初球のスライダーに快音を響かせ、勝ち越しのヒットを決めた佐坂は、集中力と対応力に優れていた。

佐坂はこれまでの試合でも勝負強さを発揮し、チームを勝利に導く活躍を見せている。

健大高崎の春夏連覇を阻んだ智辯学園リードオフマン、スゴすぎる「1球への集中力」【夏の甲子園ピカイチ選手・8日目】

 第106回全国高校野球選手権8日目、一振りで甲子園の雰囲気を一気に変えた男がいた。第1試合、センバツ優勝校の健大高崎(群馬)に挑んだ智辯学園(奈良)の1番打者・佐坂 悠登内野手(3年)。センバツ優勝校からの勝利をもたらす、貴重な、貴重な決勝打を放った右打者だ。

 1対1で迎えた9回1死一、二塁。健大高崎のプロ注目、箱山 遥人捕手(3年)にバントをうまく処理されて好送球で三塁アウトとなり、勝ち越しのチャンスはついえたかに思えた。再三、好プレーを連発していた箱山に、またしても封じ込められた。多くの人がそう思ったかもしれなかったが、直後に打席に入った佐坂は気合が入っていた。初球をたたくと、打球は左中間へ。二塁走者をかえし、2対1とする勝ち越し打となった。健大高崎の流れになりそうなところを、一振りで流れを呼び込んだ。

 前の打席の7回には、健大高崎の石垣 元気投手(2年)と初対決し、二ゴロに倒れていた。150キロを超える直球を2球続けられたが、1球目をファウルにした後に、2球目に快音を響かせて二ゴロに終わっていた。その剛速球が頭にこびりついているはずの佐坂に、健大高崎バッテリーが初球に選んだのがスライダーだった。タイミングが外れることを期待していたのだろうが、甘く真ん中に入ってきたとはいえ、佐坂は初めてみる石垣のスライダーに対してドンピシャのタイミングでヒットにしてみせた。集中力と対応力は並ではない。

 今夏、奈良大会では2打席連続の本塁打を放っている。1本は満塁弾。勝負強さは折り紙付きだが、それをこの大一番の勝負どころで発揮し、チームを救うどころか勝利に導いた。高校野球はたった1球で流れが変わると、よく言われる。佐坂の勝負強い一打は、まさにその「1球」に集中した結果だったと思う。

 初戦では6打数5安打をマークした。それも、2打席目からの5打席連続安打だった。2戦目は最後の打席での1本しか安打を打つことができなかったが、それは佐坂しか打てない1本だった。