中村敬斗、久保建英を育てた森山佳郎監督率いる仙台が満員のホームで首位チームと激突【激闘「三笘薫」超え J2リーグ「上位戦線」異状アリ】(1)

AI要約

 J2リーグは激しい戦いが繰り広げられており、首位争いから昇格プレーオフ圏争いまで熾烈な状況だ。清水、横浜FC、長崎の3強が首位を競い合い、J1昇格を目指すチーム同士の真剣勝負が続いている。

 しかし、J2リーグの観戦機会が減少しており、首都圏クラブのJ1昇格やJ3降格により注目を集めるチームが減ってしまった。それでもJ2リーグは試合の質が向上し、個性豊かなクラブが多く、J1リーグ中位クラブ同士の試合よりも魅力的だ。

 Jリーグ中断期間中に行われたエキシビションマッチに飽き、真剣勝負を求めたサッカー記者が、上位対決のベガルタ仙台対清水エスパルスを観戦するために動き出す。

中村敬斗、久保建英を育てた森山佳郎監督率いる仙台が満員のホームで首位チームと激突【激闘「三笘薫」超え J2リーグ「上位戦線」異状アリ】(1)

 夏の中断期間を経てJ1が再開されたが、それよりも一足先に始まったのがJ2である。第26節を終えて、首位から勝点3差に3チームがひしめく大激戦で、さらに6位までの「昇格プレーオフ圏」争いも熾烈を極めている。J1中位クラブ同士の試合よりも見応えがあるというJ2の上位戦線の「真剣勝負」に、サッカージャーナリスト後藤健生が現地から目を凝らす!

 J2リーグでは清水エスパルス、横浜FC、V・ファーレン長崎の3強がしのぎを削っている。8月10日の第26節では、清水がザスパ群馬を4対0と一蹴して、再び首位の座を奪い返した。そして、勝点1の差で横浜FCが2位。そして、長崎が首位と勝点3差で3位。自動昇格圏を巡る激しい競り合いはまだまだ最後まで続きそうだ。

 ただし、残念なのは、今シーズンはJ2リーグを観戦する機会が減ってしまったことだ。

 というのも、長い間J2リーグで戦っていた東京ヴェルディとFC町田ゼルビアがそろってJ1に昇格し、一方、大宮アルディージャがJ3リーグに降格してしまったため、首都圏のJ2クラブが横浜FCとジェフユナイテッド千葉の2つだけになってしまったからだ。

 もちろん、その分、J1リーグの観戦機会が増えたのだから文句を言う筋合いはないのだが、J2リーグの観戦機会が減ってしまったのはやはり残念なことだ。

 J2リーグは数年前から試合の質が上がっており、とくにJ1昇格がかかる上位チーム同士の真剣勝負は白熱するし、クラブの伝統や監督個人のサッカー観の違いが表れた個性的なクラブが多いのもJ2リーグの魅力だ。優勝にも昇格にも関わらないJ1リーグ中位クラブ同士の試合より、よっぽど面白い。

 そんな中で、オリンピック期間中にJリーグは短い中断期間があり、その間、三笘薫のいるブライトン&ホーヴ・アルビオンとかトッテナム・ホットスパーなどヨーロッパの強豪クラブが次々と来日してJリーグ・クラブと親善試合をしていた。

 だが、彼らはシーズン開幕前の調整時期で、選手のコンディションも上がりきっていないし、プレーのコーディネーション(自分の体を思い通りに動かす力)も不足した状態。一方、対戦するJリーグ・クラブも前半戦の疲労を溜めた状態であり、また、後半戦に向けてチームの再構成をしている状態だ。

 当然、ハイレベルな試合は望めない。中には、公開トレーニング・マッチのような試合もある……。そうしたエキジビション・マッチに飽きた僕は、真剣勝負を見たくなった。

 そこで、8月3日の土曜日には東京・国立競技場でニューカッスル・ユナイテッドの試合もあったのだが、J1リーグより一足早く再開するJ2リーグを観戦することにした。対戦カードを見ると、ベガルタ仙台対清水エスパルスという上位対決があるではないか。

 仙台は、6位までの「昇格プレーオフ圏」争いの渦中にいる。

 また、昨年までUー17日本代表監督を務め、育成年代のエキスパートだった森山佳郎監督が就任した仙台がどんなチームになっているのかも以前から気になっていた。

 というわけで、8月3日の朝、僕は「青春18きっぷ」を片手に仙台に向かったのである。