白バイ訓練で脊髄損傷し11年 巡査長、パラリンピックの大舞台へ

AI要約

佐藤和人巡査長がパリ・パラリンピックのパワーリフティング男子107キロ級に出場する壮行会が開かれた。

佐藤巡査長は脊髄を損傷し下半身に障害が残った過去を持ちながら、家族の支えを受けて競技を続け、日本選手権を3連覇した。

初のパラリンピック出場を控えた佐藤選手は、前向きな姿を示して多くの人に影響を与えたいと意気込んでいる。

白バイ訓練で脊髄損傷し11年 巡査長、パラリンピックの大舞台へ

 パリ・パラリンピックのパワーリフティング男子107キロ級に出場する兵庫県警の佐藤和人巡査長(44)の壮行会が13日、県警本部で開かれた。佐藤選手は「ずっと目指していた舞台。悔いの残らない大会にしたい」と意気込みを語った。

 神戸市出身。運転免許課で勤務する。白バイ隊員を目指していた2013年、訓練中に転倒し、脊髄(せきずい)を損傷。下半身に障害が残った。

 当時は1歳の長男を抱え、半年前に次男が生まれたばかりだった。2児を連れ病室を訪れた妻は、ベッドの上で体を動かせない姿を見て言葉を失っていた。「不安で目の前が真っ暗になるようだった」と振り返る。

 それでも家族のためにリハビリに打ち込み、約1年半後に復職した。さらに福祉施設の職員に勧められ17年に競技を始めると、みるみる力を付け、22~24年には日本選手権を3連覇した。「トップレベルでは健常者を超える記録を出すことができるのが、この競技の魅力」と語る。

 パラリンピックには今回が初出場。「見た人が『自分も頑張ろう』と前向きになれるような姿を示せたら」と語る。

 壮行会には県警幹部ら約120人が参加。佐藤選手を激励しようと花束が贈られた。【大野航太郎】