【こんな人】記者に謝った北口榛花「準備してくださっていた質問が…」異なる立場の人への想像力

AI要約

陸上女子やり投げで北口榛花が金メダルを獲得し、日本勢として史上初の快挙を達成した。

北口は世界一になっても謙虚な姿勢を貫き、他社報道関係者に対しても気配りを見せる。

彼女の人柄が試合成績だけでなく称賛される理由として浮かび上がる。

【こんな人】記者に謝った北口榛花「準備してくださっていた質問が…」異なる立場の人への想像力

<こんな人>

 <パリオリンピック(五輪):陸上>◇10日(日本時間11日)◇女子やり投げ決勝◇フランス競技場

 【パリ10日(日本時間11日)=藤塚大輔】陸上女子やり投げの北口榛花(26=JAL)が悲願の金メダルを獲得した。1投目で今季自己ベストの65メートル80で首位に立ち、そのまま逃げ切った。日本の陸上女子では、史上初のマラソン以外の金メダル。男女の全種目を通じ、5大会ぶり8人目の金メダリストとなった。昨夏の世界選手権に続き、2年連続での世界一。身長179センチのスロワーは、自分の体と向き合いながら新たな歴史を切り開いた。

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 北口に謝られたことがある。陸上担当になって1年が過ぎた頃。大会前日に競技場の待機室で顔を合わせると「こないだはすみません」と申し訳なさそうに声をかけられた。

 その前週。他社の報道関係者らとオンラインをつなぎ、北口の合同取材をしていた。どの質問にも自然体で丁寧に答えてくれていたが、ある社の質問への回答が長くなる場面があった。時間に限りがあるため、1つの質問について話し込むと、その分だけ別の記者は質問機会が減る。私も内心では「なかなか質問できないな…」と思ったが、合同取材である以上、当然だと受け止めていた。

 ただ北口は、その話し過ぎたことを謝ってきた。「私がつい盛り上がってしまいました。きっと準備してくださっていた質問がありましたよね?」。翌日に試合を控えているにもかかわらず、深く頭を下げられた。天真らんまんなイメージが強いかもしれないが、異なる立場の人への想像力にもあふれている。世界一になっても、その人柄は変わらない。