「Jリーグはサッカーの敵を撲滅すべし」2つの緊急提言(1)藤田、熊谷キャプテン涙の準々決勝で敗退「パリ五輪」で採用も…再開J1で繰り返された「蛮行」

AI要約

IFABとUEFAの間で「キャプテンオンリー」の導入に関するやりとりがあり、UEFAがEUROで実施したことで成功し、IFABも追認した。

しかし、パリ・オリンピックのサッカーでは「キャプテンオンリー」がうまく機能せず、混乱が生じる試合もあった。

選手たちが審判に抗議する問題に対処するための取り組みが続けられている。

「Jリーグはサッカーの敵を撲滅すべし」2つの緊急提言(1)藤田、熊谷キャプテン涙の準々決勝で敗退「パリ五輪」で採用も…再開J1で繰り返された「蛮行」

 サッカーは美しいスポーツであるが、そうではない部分も存在する。審判に選手たちが執拗に異議を唱える場面も、そのひとつだ。観る者をげんなりさせる「サッカーの敵」とも言うべき試合のワンシーンを消し去る2つの方法を、サッカージャーナリスト大住良之が提言する。

 Jリーグは、なぜ「キャプテンオンリー」を採用しないのだろうか。

 今年3月の国際サッカー評議会(IFAB)で正式に「試行」が認められた、キャプテンのみが主審に話しかける(アプローチする)ことを許す制度のことである。判定をめぐって起こる選手によるレフェリーの取り囲みや、暴言、威嚇、ひどいときには暴行といった醜悪な行為をなくすための手法のひとつである。

 この「試行」を認めるにあたってIFABは、詳しい「プロトコル(実施手順)」を定め、なおかつ、施行をする国の2部までのトップリーグや、ナショナルチームによる国際試合では「試行」を行えないことを明確にする通達を出していた。

 ところが、6月から7月にかけて行われた欧州選手権(EURO)では、主催の欧州サッカー連盟(UEFA)がその通達を無視し、純粋なナショナルチームの大会であるEUROで、しかもIFABのプロトコルによらない方法で、この「試行」を実施してしまった。

 IFABとUEFAの間でどんなやりとりがあったのか知らない。しかし、UEFAの「試行」は大成功し、UEFAは以後の全大会で採用することを決定、それに追随するように、ドイツ・サッカー協会(DFB)は全レベルの大会で「キャプテンオンリー」を実施すると発表した。するとIFABは、7月、オリンピック大会開幕の直前に新しい通達を出した。

 タイトルは、「キャプテンのみが主審にアプローチすることができる~大会のためのガイドライン(アマチュアとグラスルーツ・レベルでのIFABのトライアルに参加しているものを除く)」。

 滑稽なほどに長く、複雑なタイトルだが、要するに、3月の「通達」をUEFAに無視されたIFABが、EUROでの成功を見てトップリーグやナショナルチームの大会での「試行」を「追認」したという形である。これを受けて、7月24日に開幕したパリ・オリンピックのサッカーでは「キャプテンオンリー」が使われた。

 ただ、この大会ではうまくいったとは言えない。判定をめぐってレフェリーたちはこれまでと変わらずに取り囲まれていたし、監督たちは口汚くののしっていた。コントロールがきかず、大混乱に陥った試合もあった。

 大会直前の「試行」採用決定で、その考え方が全チームにしっかりと理解されていなかったことが、その原因だったのではないか―。ともかく、パリ大会のサッカーを見た人は、選手たちが言いたい放題にレフェリーに抗議するのを見て、サッカーへの嫌悪感を深めたかもしれない。