「同期で一番うまい」 死去の角田大河騎手は関係者から高い評価 惜しまれる次世代のスター候補

AI要約

21歳で早世した角田大河騎手の短い騎手生活を振り返る。

デビューから連勝し、将来を嘱望された若手騎手だった。

師匠や馬主からの評価も高く、次世代のスターとして期待されていたが、突然の訃報により競馬界からは惜しまれている。

「同期で一番うまい」 死去の角田大河騎手は関係者から高い評価 惜しまれる次世代のスター候補

 10日、JRAから死去したことが発表された角田大河騎手(栗東・石橋)。享年21、わずか2年5か月という短い騎手人生だったが、騎乗技術に対する現場の評判は良く、同期の中でトップクラスだった。

 2022年3月5日の阪神競馬場。1Rのデビュー戦で初騎乗初勝利を挙げて続く2Rも連勝。デビュー2連勝は1996年の福永祐一以来、史上3人目の快挙だった。

 父に数々のビッグレースを制した角田晃一現調教師を持ち、兄は同じくJRA騎手の角田大和がいる競馬一家。鮮烈なデビューは大きなインパクトを与え、生まれながらにして騎手への道を歩むことを約束された人生の、素晴らしいスタートを思わせた。

 1年目は36勝。51勝を挙げた今村聖奈の活躍の陰に隠れる形だったが、それでも競馬関係者の中では「大河が同期で一番うまい」と評する人が少なくなかった。

 2年目の昨年は毎日杯をシーズンリッチで制したが、同期の佐々木大輔が68勝を挙げて大ブレーク。誰よりも負けず嫌いな性格で相当な刺激を受けたのだろう。3年目の今年は関東の厩舎とのつながりを求めて初めて函館に滞在した。函館開幕週に3勝を挙げて着実にステップアップ。将来を嘱望されていた矢先の突然の訃報だった。

 JRA通算90勝のうち最多26勝は所属の石橋厩舎で挙げたもの。師匠の石橋守調教師は失敗を繰り返してもずっと乗せ続けてきた。1年目から3キロ減量を生かすような逃げ、先行にはこだわらず将来を見据えた競馬をしてきたのも師の教えがあったのかもしれない。

 馬主からも高い評価を得ていたのはお手馬の一頭だったエイシンスポッター(23年GⅢオーシャンS、GⅢ京阪杯でともに3着)が、1年目の5月で初めてタッグを組んだ未勝利戦Vから、前走の北九州記念(9着)まで17戦、ずっと手綱を任されてきたことからも分かる。

 ここ数年は若手世代の活躍が目覚ましくルメール、川田を脅かす存在が増えてきたが、角田大河の名前を、坂井瑠星、菅原明良と一緒に次世代のスターとして挙げる関係者は少なからずいた。今後の競馬界を背負えたはずの若い騎手のあまりにも早い死が惜しまれる。