世界のトップアスリートが陥る栄養問題 日本食の印象の影響か、スポーツ大国・米国が米を重宝する理由

AI要約

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」がパリ五輪期間中に展開する特集「シン・オリンピックのミカタ」では、スポーツの楽しみ方や学び方を伝える取り組みを行っている。

公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏と共に、トップアスリートの利用可能エネルギー不足(LEA)がスポーツ界で問題となっていることを取り上げる。

LEAについて、アスリートのエネルギー摂取量と運動量の関係、その影響やリスクについて解説している。

世界のトップアスリートが陥る栄養問題 日本食の印象の影響か、スポーツ大国・米国が米を重宝する理由

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 今回はサッカー・Jリーグやラグビー・リーグワンのクラブを担当し、「THE ANSWER」で食事・栄養に関する連載を担当している公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏とともにオリンピックを通して食の課題を考える。前編ではトップアスリートの利用エネルギー。(前後編の前編、取材・構成=長島 恭子)

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 近年、世界のスポーツ界ではトップアスリートの利用可能エネルギー不足(Low Energy Availability=LEA)が問題となっています。

 LEAとは、

(1) エネルギー摂取量が変わらなくて運動量が多くなった時

(2) 運動量は同じでも食欲不振等でエネルギー摂取量が減ってしまった時

(3) (1)と(2)の両方が重なった状態の時

 に見られる、エネルギー不足の状態を指します。

 アスリートがエネルギー不足を起こすと、パフォーマンスの低下やケガの要因になることはもちろん、様々な健康障害にもつながるリスクを抱えるため、LEAはスポーツ栄養の世界でも、取り組むべき大きな課題となっています。

 アスリートは1日の消費エネルギーのうち、運動に占める割合が高いのが特徴です。そのためスポーツ栄養では、食事から摂るエネルギーは優先的に運動に使い、残りのエネルギーを運動以外の機能につぎ込む、と考えます。ですから、「必要なエネルギーをどれだけインプット出来るのか」という視点で、食事を組み立てます。

 これは、一般(通常)の栄養学にはない、スポーツ栄養独特の考え方です。

 一方、一般的な栄養学ではエネルギーバランスを軸に、食事を組み立てます。体重が減少すればエネルギー不足、また、体重が維持出来ていればエネルギー状態は良好と捉え、エネルギーの収支バランスを軸に考えるわけです。