打撃のバロメーターに…免除されていた“バント練習”に取り組む中日・石川昂 受け継がれた森野2軍コーチの教え

AI要約

石川昂がバント練習を取り入れ、その重要性を説く

石川昂にとってバントは打撃のバロメーターであり、姿勢の崩れを知る手段として役立っている

森野2軍打撃コーチのアドバイスによるバント練習の意義と、正しい姿勢が成功への近道であること

打撃のバロメーターに…免除されていた“バント練習”に取り組む中日・石川昂 受け継がれた森野2軍コーチの教え

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って

◇8日 中日2-4DeNA(バンテリン)

 今季119打席でようやく2本塁打。彼の能力の高さからすれば、物足りない。だけどジャクソンの153キロを、広い本拠地の右翼席まで運べる日本人打者は、球界全体を見渡しても数えるほどしかいないだろう。それができるのが石川昂。もっとやってほしいのも石川昂。わずか3安打で敗れた夜、ほんの一瞬でも竜党をその気にさせてくれた放物線だった。

 試合前の打撃練習の合間を縫って、ほとんどの野手はバント練習をする。中日でいえば免除されているのは外国人や中田、細川といったところだろうか。僕の記憶では石川昂も免除組だった。1軍での犠打は1、3年目に1つずつ。彼への期待値を考えれば、確かに毎日バントの練習をする必要はない。ところが、今季の彼は違う。

 「バントとバッティングは関係があるんです。状態が悪い時は、バントも悪い。(真後ろへの)ファウルになったりするんです。それを確かめるためにもやるようになったんです」

 石川昂から理由を教えてもらってから、僕は彼のバント練習を見るのが楽しみのひとつになった。バントは打撃のバロメーター。石川昂にそう教えた人にも話を聞いた。

 「僕も現役の時に打席の中で真っすぐ立っているつもりでいても、知らない間に少しゆがんでいることがあると教えられたんです。そこから自分で考えるようになって、立ち姿がゆがんでいる時は、バントも上手にできないことに気付いたんですよ」

 森野2軍打撃コーチは構えた時の姿勢の崩れ、ゆがみを知るためにバント練習をした。打撃マシン相手なら、プロがやれば再現性は高い。それを失敗した時は要注意。そんな体験談を石川昂に伝え、納得できた石川昂も取り入れた。

 自分のイメージと実際の姿には、ズレが生じるものだ。正しく立ち、構え、振る。それができれば確率は上がる。右翼に伸びた美しい軌道は、その証明なのかもしれない。