リレー侍、タイムに拾われ決勝進出 桐生祥秀「あした、もっといい走りをしないとここに来た意味がない。メダルを取りに来ている」/陸上

AI要約

日本男子400メートルリレーが予選を突破し、メダル獲得への期待が高まる

桐生祥秀が経験を活かし、チームを引っ張る存在として活躍

決勝ではさらなる好走を目指し、メダル獲得を意識した挑戦が期待される

リレー侍、タイムに拾われ決勝進出 桐生祥秀「あした、もっといい走りをしないとここに来た意味がない。メダルを取りに来ている」/陸上

パリ五輪第14日・陸上(日本時間9日、フランス競技場)男子400メートルリレー予選で、2大会ぶりのメダル獲得を目指す日本(サニブラウン・ハキーム、柳田大輝、桐生祥秀、上山紘輝)は38秒06の1組4着。タイムで拾われ、決勝に進んだ。1組1着の米国が37秒47で全体トップ。強豪ジャマイカは38秒45の2組4着で落選した。女子100メートル障害の敗者復活戦で、田中佑美(25)=富士通=は12秒89の3組2着で準決勝に進んだ。

〝リレー侍〟の完全復活を思わせるレースだった。日本が全体4位で予選を突破。3大会連続の3走で激走した桐生は、表情を引き締めた。

「あしたにつながったのは良かった。(自分の)走りは、もっとトップで持っていかないとメダルには組み込めない」

午前中から満員のフランス競技場。大歓声の中、日本は1組7レーンに入った。6レーンは今大会の男子100メートル銅メダリストのフレッド・カーリー擁する米国、8レーンは東京五輪のこの種目金メダルのイタリアと、強豪に挟まれてスタートした。

1走でサニブラウンが飛び出し、トップでバトンを2走の柳田へ。各国のエースと渡り合い、4位で3走の桐生につないだ。内側の米国がグイグイと飛ばす中で、経験豊富な28歳はラップタイム9秒25で2位に順位を押し上げた。バトンはアンカーの上山に。最後は南アフリカ、イギリス、イタリアと並んでゴールに飛び込み、組4着。2組は記録が低調で、決勝進出が決まった。

桐生は4人のメンバーの中でただ一人、2016年リオデジャネイロ五輪銀メダルの喜びを知る。21年東京五輪で、バトンがつながらなかった悔しさも知っている。一時は病気で休養時期もあったが、調子を上げて、パリに乗り込んだ。

チームの精神的な支柱としての役割も担う。京都・洛南高時代に自身が代表入りした際は、藤光謙司ら先輩が声をかけ、競技に集中できる環境を作ってくれていた。自分も同じように後輩に声をかけ、普段はバラバラで戦うメンバーを一つにまとめている。

9日の決勝は、2大会ぶりのメダル獲得を目指す。「あした、もっといい走りをしないとここに来た意味がない。メダルを取りに来ている」。冷静に語る瞳には、闘志がみなぎっていた。(高橋朝香)