【バレー】世界へ実力証明したパリ五輪を振り返る 充実の選手村、1次L突破の軌跡/広報リポート

AI要約

男子代表はパリ五輪で金メダルを目指し、8強入りを果たすも逆転負けで敗退。岸広報がチームの様子を紹介。

選手村や初戦のドイツ戦、アルゼンチン戦、アメリカ戦などの試合を振り返り。

選手たちのコメントやコーチの意気込みをまとめつつ、今後の準々決勝への期待を背景に続きを予告。

【バレー】世界へ実力証明したパリ五輪を振り返る 充実の選手村、1次L突破の軌跡/広報リポート

<男子日本代表広報リポート パリ五輪編・前編>

 1972年ミュンヘン大会以来、52年ぶりの金メダルを目指した男子代表の戦いが幕を閉じました。

 パリオリンピック(五輪)準々決勝でイタリアに無念の逆転負け。東京五輪に続く2大会連続の8強となりましたが、世界へ確かな実力を示しました。バレーボール男子日本代表の岸翔太郎広報が、パリでの戦いを前後編で紹介。前編は1次リーグ突破までのチームの様子を振り返ります。

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 7月23日に選手村へ入村。今回は、選手村を含めてチームの拠点が6カ所に分かれており、スケジュールの集約や施設の手配などを遠隔でまとめることになるのでとても大変でした。

 選手村では2LDKか4LDKの部屋に2人ずつ入った選手たち。その反応はというと…

 高橋健太郎選手「食事や炭酸泉など充実したサポートがあり、しっかりとリカバリーできています」

 山本智大選手「交代浴であったり、日本食が食べられるので助かります」

 宮浦健人選手「甲斐優斗選手と相部屋なので元パリバレーコンビで静かに過ごしてます」

 高橋藍選手「選手村はテーマパークみたいで楽しいです。五輪に来たなという感じです」

 それぞれ充実した様子を明かしてくれました。

 ドイツとの初戦は朝9時スタート。練習もそのスケジュールにあわせて行い、万全な状態でドイツに挑みました。結果は2-3の惜敗。この試合については

 関田誠大選手「いつも通り臨んだつもりだったが、みんなこの大会にいろいろな思いもあるので難しかったです」

 西田有志選手「みんなが自分で点を取るという気持ちが出過ぎてしまい、コントロールができていなかった。そこが敗因。1歩引いて見られる状況が必要だと思いました」

 石川祐希選手「自分たちのミスが多かったのが敗因だと思います。次のアルゼンチン戦も、絶対に負けられないので切り替えが大事。勝てる保証はないので、1点を全力で取りにいくことが勝負だと思います」

 と振り返りました。

 続くアルゼンチン戦前の練習には、川合俊一会長が選手たちを激励。「五輪はいろんな国が完璧に仕上げてくるので、戦っていて面白いと思う。楽しみながら仲間を信頼しながら試合をしてもらいたい。頑張ってください」。五輪に2回出場した自身の経験も交えながらエールを送りました。

 そして中3日で迎えたアルゼンチン戦。持ち味の粘り強い攻撃に、ミドルブロッカー陣や西田選手の活躍が光り、3-1で今大会初勝利を挙げました。この試合12得点の小野寺太志選手は「負けたら予選突破が厳しくなるプレッシャーのかかった試合だったが、良いパフォーマンスが出せた。関田さんとコンビを合わせて、本数も多く上げてくれたのでスパイクは気持ちよく打てました」と、充実の表情を見せました。

 そして1次リーグ最終戦のアメリカ戦。1、2セット目は相手の強いサーブにサーブレシーブで苦しみ、連取される展開となりました。しかし、第3セットはスタートから出場した大塚達宣選手が安定した活躍を見せ、セット奪取に貢献。この1セットを取ったことで、決勝トーナメント進出が決まりました。試合は1-3で負けましたが、メダル獲得へ望みをつなぎました。

 この3戦を振り返って、石川祐希選手は「求めているものとは違う結果だったが、準々決勝に進めたことは重要だと思いますし、ここからかなと思います。個人としてはサーブレシーブを安定させること。ここからの相手にもサーブで狙われると思うので、しっかり準備していきたい。スパイクに関しては決定率が高かったので問題ないかなと思ってます。決勝トーナメントは流れの悪くなった時いかに我慢できるか、ここからは負けたら終わりなので絶対勝ち切るという強い意志が必要。僕たちはここにメダルを取りに来ているので絶対取ります」と誓いました。

 フィリップ・ブラン監督は「ドイツ戦は強いサーブに対するパスが良かった、アルゼンチン戦ではミドルブロッカーが良かった、アメリカ戦では西田選手が良かった。それぞれの良かったところ1つにして臨みたい」と気を引き締めました。そして1次リーグでは調子が上がりきらなかった石川選手、高橋藍選手については「藍選手に関してはネーションズリーグ終盤で足の痛みで実戦から離れていたので徐々にコンディションは上がっていると思う。準々決勝がピークが来るのではないかと思っている。石川選手は試合の結果や、ドイツ戦で足がつったこともあり、少し自信を失っているように見えるが、準々決勝の相手はイタリアで彼は特別な感情もあると思うのでここから調子が上がることを期待しているし、心配はしていません」。指揮官の両軸への信頼は揺らぎませんでした。(後編につづく)

 ◆岸翔太郎(きし・しょうたろう) 1990年(平2)5月19日、埼玉県志木市生まれ。小学校からバスケットボールを始め、中学時には全国大会優勝。高校、大学と強豪校でバスケを続け、その後テレビの企画制作会社へ。現在は、昨年に続き、日本バレーボール協会広報部撮影班として男子日本代表チームに帯同し、チームの日々の練習や宿舎での様子などを撮影。