「高架下のような騒音」卓球・パリ五輪の“大きすぎる声援”はなぜ問題なのか? 現地で感じた「打球音が聞こえない」という重大な影響

AI要約

パリ五輪の卓球競技は熱狂的なフランスの応援スタイルに驚く日本人選手たち

フランスの熱狂的な応援スタイルが選手のプレーに影響を与える

卓球は観客の騒音レベルや音の重要性がプレーに影響を及ぼす競技

「高架下のような騒音」卓球・パリ五輪の“大きすぎる声援”はなぜ問題なのか? 現地で感じた「打球音が聞こえない」という重大な影響

 パリ五輪がいよいよ佳境を迎える。

 開会式翌日の7月27日から閉会式前日の8月10日まで15日間にわたる長丁場の卓球競技は、パリ市南西部の15区にあるパリ南アリーナ4を舞台に連日、ほぼ満員の観客を集めて盛り上がっている。

 日本で卓球の応援といえば、静かなイメージがあるだろう。

 拍手や声援はポイント間やゲーム間に限り、選手がサーブを出す際にはしーんと静まり返る。プレーを妨げないための観戦マナーだ。

 しかし、国が変われば応援スタイルも変わる。

 ここフランスでは卓球の応援もサッカー並みに熱狂的で、大歓声や指笛はもちろん、太鼓やラッパなどの鳴り物あり、歌の大合唱あり、観客が一斉に「ダダダ」と床を踏み鳴らすパフォーマンスありと、まさに“爆援”だ。

 特にアリーナに設置された仮設スタンドは音が響きやすく、観客が一斉に足踏みをするとまるで鉄道の高架下にいるような騒音レベルになる。

 男子日本のエース張本智和が大会序盤の男子シングルス1回戦の後、「(会場が)本当にうるさくて」とこぼし、それが原因でサーブミスしたことを明かしたが、不慣れな応援スタイルに戸惑うのも無理はなかった。

 ただし張本は決して、集中できなかったという理由だけでサーブミスをしたわけではない。

 卓球という競技は目だけでなく耳でも情報収集するスポーツで、特にサーブはラケット面の向きに加え、ボールとラケット面が接触する際の音でも相手ボールの回転や種類を判別する。

 逆に自分がサーブを出す時は足で床を「ダン!」と鳴らし、打球音を掻き消したりするほどだ。

 さらに、ラリーでボールを打つ時にはラケットから手に伝わる打球の感覚以外に打球音でインパクトを確かめてもいる。

 そのため会場がうるさいと耳栓をしたような状態になって、耳からの情報量が激減しプレーに少なからず影響があると選手たちは言う。

 対戦相手と3メートル程の至近距離で向き合うため、相手の手元や表情が見え、ボールの重さは2.7グラムと軽い卓球ならではの競技特性と言えるだろう。