甲子園7回制に猛反対…大阪桐蔭・西谷浩一監督がじっくり語る“決定的な理由”…早稲田実業の監督も困惑「新ルール決まるスピードが速い」

AI要約

高校野球の「7回制」導入が現実味を帯びてきた。日本高等学校野球連盟が検討を始め、西谷浩一監督らの反対意見が目立つ。

西谷監督は9イニング制を支持し、子どもたちや選手の活躍機会を重視している。一方、高校野球は過去にも暑さ対策や選手保護の取り組みを進めてきた。

他競技との比較や取り組みの詳細を挙げつつ、高校野球への配慮や議論の重要性が示されている。

甲子園7回制に猛反対…大阪桐蔭・西谷浩一監督がじっくり語る“決定的な理由”…早稲田実業の監督も困惑「新ルール決まるスピードが速い」

 噂されていた高校野球の「7回制」の導入がとうとう現実味を帯びてきた。

 日本高等学校野球連盟(高野連)は8月2日、理事会を開き、7回制の導入を検討する「高校野球7イニング制に関するワーキンググループ」を設置したと発表した。

 この日はちょうど、第106回全国高等学校野球選手権大会出場校の甲子園練習があったこともあり、名物監督らのコメントが報じられたが、球数制限やタイブレークの時とは違って、ネガティブな意見=反対の意見が目立つ印象を抱いたのは筆者だけだろうか。

 その筆頭格は、常勝軍団・大阪桐蔭を率いる西谷浩一監督だ。

「私個人としては、9イニングやってもらいたい」

 そう、はっきり口にしていた。高野連に属する全国の学校の指導者は、軽々にその指針に反するような発言はできないものだ。本人に自覚はなくとも、歴代最多となる69勝を聖地であげている西谷監督は「現場の声」の代表として声をあげたようにすら思えた。

 4日の組み合わせ抽選会後に改めて話を聞いた――。

「一生懸命に野球をやっている子どもたちに対して、イニングを減らすことは、現場の監督として言わせていただくなら避けてもらいたい。9イニングなら、スタメンの全選手が最低3打席は立つことができる。2回しか立てない選手がいるとなると、ちょっと少ないのかなと思う。しっかり9イニングやらせてもらいたいなというのは個人的な意見としてあります」

 日本高野連は近年、夏の暑さ対策や投手の投球障害予防を目的とする改革を相次いで実施してきた。たとえば、夏の甲子園は準々決勝、準決勝、決勝のそれぞれ前日に休養日が用意され、雨による順延がなければ17日間に渡るスケジュールに(記念大会を除く)。2021年春からは「1週間に500球以内」という球数制限が適用され、2018年春に延長13回から導入されたタイブレークも、昨年春には10回からとなった。また昨夏には5回終了時に10分間のクーリングタイムも実施され、今年も継続が決まった。さらに、今大会より開幕から3日間は強い陽射しの時間帯を避けた2部制も試験的に導入されている。

 ベンチ入りメンバーの数も草創期の14人から15人、16人と増えていき、03年に18人、そして昨年からは地方大会と同じ20人になった。

 酷暑の中で行われる夏の甲子園は何かと批判の対象となりがちだが、かように高校球児に対する配慮や対策は実施されてきた。

「日程(スケジュール)も含め、いろんなことをしていただいている。他の競技の状況は私も勉強不足ですが、たとえばサッカーやラグビーはずっと(炎天下で行われるゲームに)出ずっぱりですよね。その点、野球はベンチで休憩する時間もありますし、クーリングタイムも考えてもらっていますよね。(大阪桐蔭の)他の部活動の先生の話を聞く限り、野球はすごく考えていただいていると思います」