かばんの中で熱くなったり、夜中に明るくなったりするのはゴメンだ。Windowsのスリープ復帰を抑制する設定あれこれ

AI要約

Windows搭載PCでのスリープ復帰問題への対処方法について解説。モダンスタンバイの有無やデバイスによる復帰、タスクスケジューラの設定などを紹介。

スリープ復帰の原因となるデバイスやタスクを特定し、適切な設定変更を行うことで問題を軽減できる。

自動メンテナンスやWindows Updateなどの設定もチェックし、スリープ解除時の問題を防止するための対策を取る。

かばんの中で熱くなったり、夜中に明るくなったりするのはゴメンだ。Windowsのスリープ復帰を抑制する設定あれこれ

 Windows搭載PCを使用している人の多くは、使用時にのみPCを立ち上げ、使い終わったらPCをスリープさせておくという使い方をしていることだろう。ところが、気づくと勝手にスリープから復帰している、という経験をお持ちの方は多いのではないだろうか。

 筆者も経験があり、確かにスリープ設定してカバンに入れたノートPCが、目的地についていざ起動しようとしたら、既にカバンの中で起動して勝手に動作していた。カバン内は密閉空間のため、そこで勝手に動いていたノートPCはかなりの熱を持っているだけでなく、当然バッテリ残量も激減していて外部電源に頼る羽目になった。

 一方、デスクトップPCの場合でも、夜中などに勝手にスリープから解除されることで、モニターが点灯したり、突然ファンが回り出すため、驚かされることもしばしばあるのではないだろうか。

 もちろん、シャットダウン(電源を落とす)すれば問題は回避できるが、スマートフォンのようにさっと起動し、途中の作業を即座再開できるスリープの使い勝手の良さは捨てがたい。でも、こうした悲劇が起こらないためにも、今回はWindows 11のスリープ復帰に関する設定について改めてチェックしてみよう。

■ 「モダンスタンバイ」かどうかをまずチェックしよう

 さて、デスクトップPCの場合はこの項目をほとんど読み飛ばしてもらっても大丈夫だが、今回Windows 11の設定をチェックするに際して、最優先でチェックするべき項目がある。それはPCが「モダンスタンバイ」対応か否かという点だ。

 モダンスタンバイは簡単に言うとCPUを止めずに低電力状態にし、スマートフォンのような使い勝手を実現するもの。スリープや休止状態といった従来の電源管理の仕組みを使わず、OS側でディスプレイやCPU動作の状態などを制御。スタンバイ状態になった場合でもネットワーク接続を維持させられるほか、使う際に高速で復帰できる仕組みだ。

 モダンスタンバイかを判断するには、管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「powercfg /a」とコマンドを入れることで状態をチェックできる。この時、「スタンバイ(S0 低電力アイドル)」と表示される場合はそのノートPCは「モダンスタンバイ」対応モデルとなる。モダンスタンバイモデルは基本的にCPUが常時稼働しているため、“残念ながら”「(低電力ながら)かばんの中で動作している」というのは想定内の挙動だ。

 なお、原則としてモダンスタンバイのPCはこの機能を解除できず、設定を変更するにはOS再インストールが必要になるとされている。

 ただ、製品によってはBIOS設定を変更するだけでこの辺りの電源設定が変更できる場合もある。たとえば、筆者所有の「ThinkPad X1 Nano(第1世代)」の場合、デフォルトではモダンスタンバイ対応だが、BIOS設定の「Sleep State」を「Windows and Linux」から「Linux S3」に変更したところ、特にOSの再インストールなどもせずに、従来同様のスリープや休止状態の機能が使える状態になった。

 ほかのノートPCに同様の設定があるとは限らないし、仮にあったとしてもそこを変更するだけで簡単にモードが変更できるかは不明だが、もし自身のノートPCがモダンスタンバイ対応であっても従来の通常の電源管理を使いたい場合には、チェックしてみるといいだろう。

■ デバイス起因のスリープ復帰はデバイスのプロパティからチェックをオフに

 スリープから勝手に復帰される現象は、デバイスが原因、というのがもっともシンプルで分かりやすい例だ。たとえば高感度の光学マウスなどを使用していると、周囲の光の微かな変化を検出して動きとして捉え、その動作でスリープから復帰してしまうるというわけだ。

 デバイスに起因するスリープ復帰は、デバイスがはっきりしている場合なら、デバイスのプロパティにある「電源の管理」タブを開き、「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」のチェックを外せばOKだ。

 一方、どのデバイスがスリープ解除の原因か分からない場合は、簡単に調べることができる。管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「powercfg -devicequery wake_armed」と入れてやればよい。

 ここに表示されるデバイスには、前述の「電源管理」タブがあり、スタンバイ解除の設定が有効になっているので、これらの設定を変更する。何もない場合は、Noneと表示されるので、この場合は特に設定は不要だ。

 また、システムそのものが自動でスリープ復帰したり、自動で電源がオンになる仕組みを持ち、それが有効になっている場合もある。この辺りはノートPCによるが、筆者所有のThinkPad X1 Nanoでは、BIOS内に電源をオンにするためのさまざまなオプションが用意されていた。

 ほとんどはデフォルトでオフになっていたが、電源が接続されたタイミングで電源がオンになる……といったオプションもあるので、こうした設定もすべて見直しておくのがいいだろう。

■ タスク スケジューラをチェックする前にやっておくべきこと

 Windows 11にはさまざまなサービスが組み込まれており、バックグラウンドで実行するタスクについてはすべてタスク スケジューラで管理されている。こうしたサービスの中にはタスク実行時にスリープを解除するものもあり、これらをチェックするには、タスク スケジューラをチェックすればよい。ただし、タスク スケジューラのチェックは、後述するがなかなか面倒な作業だ。

 そのため、先に電源オプション側のイベントによるスリープ解除に関する設定をオフにして様子を見るのがいいだろう。こちらは説明として「時間指定イベントがコンピューターのスリープ状態を解除できるようにするかどうかを指定します」と書かれているので、タスク スケジューラをチェックする前に変更してみるのがよさそうだ。

 ただし、こちらの設定はコントロールパネルからしか設定ができない項目だ。Windows 11では以前までのコントロールパネルは表示されず、すべて「設定」に統合されている。しかし、従来のコントロールパネルからしか設定できない項目も存在し、今回のスリープ解除においては、こちらを使う必要がある。

 以前のコントロールパネルを使う場合「ファイル名を指定して実行」でcontrolと入力すればOKだ。ここで「システムとセキュリティ」-「コンピューターがスリープ状態になる時間を変更」を選ぶと「プラン設定の編集」が開く。

 ここでさらに「詳細な電源設定の変更」リンクをクリックすることで、「電源オプション」のウィンドウが開くので、ツリーの中にある「スリープ」の「スリープ解除タイマーの許可」を無効にすることで、設定が変更できる。

 ちなみにノートPCの場合は、電源接続中とバッテリ駆動時、それぞれ設定が行なえる。ACアダプタに接続している場合は許可しておき、かばんの中でバッテリ駆動している時は黙らせる……ということも可能なわけだ。

 電源オプションの設定がダメな場合は、タスク スケジューラをチェックすることになる。タスク スケジューラは「ファイル名を指定して実行」から直接起動する場合は、taskschd.mscと入れればOKだが、スタートメニューから辿る場合は、「すべてのアプリ」から「Windows ツール」を開き、その中から「タスク スケジューラ」を実行すればいい。

 この中で実際にタスクの内容をチェックする場合は、「アクティブなタスク」の一覧から1個1個チェックする必要がある。今回のスリープに関する設定は「条件」タブの「電源」にある「タスクを実行するためにスリープを解除する」の項目なので、ここにチェックが入っている場合は、チェックを外すことで、スリープ解除がされなくなる。

 なお、Windows 11ではかなりの数のアクティブなタスクが設定されている。そのため、それらを1個1個チェックするのはかなり大変だ。

 たとえばセキュリティソフトなどを別途入れている場合、そういったソフトがウィルスチェックなどのタスクを登録する仕様のものがあるので、セキュリティソフトの名前でチェックしたり、事象が発生する直前にインストールしたソフトの名前をチェックするなど、ターゲットを限定して設定を見直していくのがいいだろう。

■ セキュリティスキャンやWindows Updateなどの自動メンテナンス

 Windowsでは「自動メンテナンス機能」が用意されており、Windows Update含むソフトウェアの更新やセキュリティスキャン、システム診断などのタスクが、夜中の2時に行なうよう標準では自動的に設定されている。

 前述の方法で「コントロールパネル」を開き、「システムとセキュリティ」-「セキュリティとメンテナンス」を開いて「メンテナンス」の項目を開くことで、この設定を見ることができる。

 ここでは「メンテナンスタスク」の実行時間が設定できるが、自動メンテナンス自体を解除することはできない。ただ、「スケジュールされたメンテナンスによるコンピューターのスリープ解除を許可する」チェックボックスを無効にすることで、メンテナンスタスクによるスリープ解除を防げる。

 一方、モダンスタンバイ状態のノートPCでは、スリープ解除項目がグレイアウトされていて、許可できないようになっている。

 ちなみにWindows 10の時代はWindows Updateがスリープから復帰するようグループポリシーなどで構成されていたりしたのだが、Windows 11では項目がなくなっているため、自動メンテナンス実行時に統合されたようである。

 以上、ざっくりとスリープを強制解除する事象とその設定についてチェックしてみた。実は筆者はこれまであまりスリープに関心はなかったのだが、冒頭でも触れた通り、思いのほか変なタイミングで、勝手にカバンの中でスリープが解除されて動作する事態に遭遇して以来、気になる現象ではあった。

 今回の記事を書くにあたり、いろいろ調べて無事にスリープや休止が使えるようになったのは本当にありがたい。やはり持ち運びには休止状態がモアベターだ。