高校野球“7回制”の賛否割れた…金足農から大阪桐蔭まで“監督ポツリ”意外な本音「9回制より守りたいのは…」「部員減の高校チャンス」揺れる現場

AI要約

高校野球界が揺れている。日本高校野球連盟が7イニング制導入を検討していることが明らかになり、監督たちの反応は賛否ありつつも冷静だった。

選手の疲労や暑さ対策として、新たな対策案として3つ挙げられる。それぞれ、開催場所や時期の変更、9回から7回制への変更が考えられている。

監督たちの中には、9回制を根幹としてきた歴史を大切にしたいという意見もあり、7回制の導入に違和感を感じるものもいる。

高校野球“7回制”の賛否割れた…金足農から大阪桐蔭まで“監督ポツリ”意外な本音「9回制より守りたいのは…」「部員減の高校チャンス」揺れる現場

 高校球界が揺れている。発端は8月2日、日本高校野球連盟の記者会見。甲子園、地方大会を含めて「高校野球の7イニング制導入」を検討していることが明かされたのだ。高校野球の根幹が変わりうるニュースを、甲子園に出場する監督たちはどう受け止めたのか。「予感はあった」「さみしい…」「一番いい対策なのかも」。抽選会が行われた8月4日、7人の監督たちに直撃した。

 意外だった。質問することができた監督は7人だから、これが高校野球の現場の総意とは言い切れない。だが、「7イニング制が検討されている」ニュースについて見解を尋ねると、賛否ありながらも一様に冷静だったからである。

 高校野球の「暑さ」と「選手の疲労」。次なる対策を考えるとすれば、3つの案が浮かぶ。開催場所を変えるか、開催時期をずらすか、あるいは「9回から7回制」に変えることで“選手の日照時間”を減らすか。

「そういう時期が来るだろう、という予感はあった」

 言葉を選びながら、迷う心境を率直に吐露したのは花咲徳栄の岩井隆監督(54歳)である。2017年に夏の甲子園を制し、昨夏はすでに7回制が導入されているU-18(高校野球の世界大会)で、日本代表のヘッドコーチを務めた。

「私が生まれてから今まで、野球は9回だと。そういうものとして育ってきたから。U-18でも経験しましたけど、これまで3回、3回、3回でそれぞれ序盤、中盤、終盤と言われたきた野球で、終盤が事実上消える。相手投手に球数を放らせて後半勝負、という野球はなくなるでしょう。その意味では、7回となると違和感はありますよ」

 岩井と同い年の大阪桐蔭・西谷浩一監督も同調する。

「スポーツの本質が変わるので。前半、ポンっていったら(複数点が取られたら)、そのまま試合が終わってしまう気がしますね。これまでずっと(給水タイムやクーリングタイムなどで)努力してきたので。他の部分で変えられるんじゃないか、そんなに急いで変えなくても……と思います。2イニングくらい、できるんじゃないかなと」

 今年で106回大会を迎える夏の甲子園はすべて9回制で行われてきた。その意味ではゲームの根幹が変わるといっていいだろう。