大抜てき、剣は惑わず 飯村、金メダル決める―フェンシング〔五輪〕

AI要約

20歳の剣さばきが光る飯村が、イタリアとの男子フルーレ団体決勝で金メダルを獲得。

大役を果たし、歓声を浴びながら夢のような瞬間を楽しんだ。

メンタルトレーニングの成果を発揮し、父の先輩から抱擁を受ける感動の瞬間を迎えた。

 恐れ知らずの20歳の剣さばきは、金メダルが懸かった大一番でもぶれなかった。

 イタリアとの男子フルーレ団体決勝でアンカーを務めた飯村は、勝利が決まると両手を掲げて目を閉じる。「夢か現実か分からなくて。ただ、歓声を浴びたことがすごくうれしかった」

 アンカーへの抜てきを告げられたのは、試合の1時間ほど前。他の国際大会でも経験のない初の大役に「さすがに想定外で緊張した」そうだが、自然と「よしっ」という言葉が決意となって漏れていた。

 8番手の永野が5連続得点でリードを広げ、6点の余裕を持って受け取ったバトン。冷静に時間を使いつつ、「果敢に攻めることがいい守備にもなる」。機敏に自ら仕掛けて得点し、役目を完遂した。

 どんな時でも「今を楽しんで、目標は一点、一点」。昨年5月から取り入れたメンタルトレーニングで精神力を養い、4位に入った個人戦に続いて安定した戦いを披露した。決勝では、2点を追う6番手での出番でも7点を取って逆転。勝利をぐっと引き寄せた。

 父の栄彦さんは、五輪銀メダリストとなった太田雄貴さんを指導。表彰式後、幼い時から憧れてきた偉大な先輩に抱きしめられ、「達成感で泣きそうになった」。歴史を塗り替えた実感がじんわりと胸に広がった。