【トライアスロン】女子が指定通り開始、生活排水が流れ込むセーヌ川で水質基準満たし

AI要約

女子トライアスロンが悪天候の中で開催された。前夜の雨で生活排水の流入懸念があったが、水質基準をクリアして開催された。

男子競技は水質悪化のため延期となったが、女子競技後に再開された。セーヌ川の水質は懸念されていたが、組織委員会の検査で安全性が確認された。

セーヌ川の水質問題は長年の課題であり、大会前から物議を醸していた。水質改善策は講じられたものの、未解決のままである。

<パリオリンピック(五輪):トライアスロン>◇31日◇女子◇アレクサンドル3世橋

 【パリ=木下淳】トライアスロンが、女子から予定通り始まった。前夜から雨が降り続き、懸念されていた悪天候時に生活排水がスイム会場のセーヌ川に流れ込む状況の中で、強行された。パリ五輪・パラリンピック組織委員会は早朝に「水質基準をクリアした」と発表した。

 前日は男子が延期になっていた。当地の30日午前8時(日本時間午後3時)に開催する予定だったが、この日の女子の後、午前10時45分(同午後5時45分)にスライド。セーヌ川の水質が基準をクリアできなかったため。開会式が行われた26日の強雨、翌27日も続いた降雨の影響で悪化していた。

 その後は晴天も、水位が一時は普段の3倍まで増していた。組織委は競技開始の5時間半前、真夜中の午前3時30分から、国際トライアスロン連合(ITU)や国際オリンピック委員会(IOC)に加え、技術・医療の代表団、パリ市、イル・ド・フランス県が出席した会議を行い、延期を決定。組織委は「残念ながら本日の検査で開催に十分な安全を保証できなかった。26日と27日にパリ上空から降った雨のような、私たちのコントロールが及ばない気象現象は、水質を変化させる可能性がある。健康上の理由から大会の日程を変更せざるを得なくなることもある。(28日午後からの晴天で)水質レベルは改善されたが、いくつかの地点ではまだ許容限度を超えている」と説明した。

 水質悪化で101年前の1923年に遊泳禁止となったセーヌ川では、競技を巡って大会前から物議を醸していた。巨大な貯水池を設けるなど約2300億円をかけて大規模な水質改善策を講じてきたが、懸念は解消されていなかった。

 開幕前の17日には、パリ市のイダルゴ市長が自ら川を泳いだ。安全性をアピールしていたが、首から下は濁って見えない状態で、降雨後の28、29日は公式練習すら中止になっていた。

 プロ野球の阪神タイガースが優勝した際、ファンが飛び込むことで知られる大阪・道頓堀に比べ、大腸菌の濃度は平時で約4倍とされていた。

 トライアスロン競技は、セーヌ川に架かる観光名所アレクサンドル3世橋を発着地に行われる。31日は午前8時(日本時間午後3時)から予定通り女子を、その後に男子が実施される。組織委とITUは「選手の健康が最優先であることを改めて表明する」とした。