競技実施は運任せに セーヌ川の水質悪化―パリ五輪〔五輪〕

AI要約

セーヌ川の水質悪化により五輪開催の競技実施に不安

過去の水質問題と改善策について

現在の状況と天候の影響による競技可能性

 水質悪化でセーヌ川での競技実施に不安が出ている。

 26日に壮大な開会式が行われたセーヌ川は、大会期間中にオープンウオーターとトライアスロンのスイムの会場となる。30日には最初の種目、トライアスロン男子を予定。しかし、28日の公式練習はスイムが中止に。大会組織委員会は水質検査の結果、実施可能な数値を満たさなかったと説明した。

 セーヌ川の水質問題はこれまで何度も指摘されてきた。パリは街の古さもあり、雨が降るたびに排水溝などから汚水があふれ、セーヌ川に流れ込むことで水質が悪化。5月に汚水の流入を防ぐ貯水施設が完成。対策の効果は一定程度は出ているようだが、完全な問題解決に至らないまま五輪本番を迎えていた。

 パリ市が発表する調査結果によると、7月に入り水質は改善。17日にはパリのイダルゴ市長、組織委のエスタンゲ会長が遊泳し、同会長は「競技が実施できる」と自信も見せた。ただ、7月上旬は雨が少なく晴れた日が多かった。

 パリでは開会式があった26日と翌27日にまとまった雨が降った。トライアスロンの公式練習中止は、この降雨が原因。昨夏もテスト大会としてセーヌ川で実施予定だったオープンウオーターのワールドカップ(W杯)が同様の理由で取りやめになっており、1年前と状況はほとんど変わっていない。

 大会組織委は「今後48時間の天候を考えれば、開始までに競技可能な範囲に回復すると確信している」とした。幸い28日以降は好天が続く見込みだが、五輪という大舞台の競技実施が「運を天に任せる」状況になっている。