五輪開幕で考える「スポーツの力」 震災から半年、能登でバドミントン福島由紀が届けた涙のエール

AI要約

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」は、パリ五輪期間中に特集「シン・オリンピックのミカタ」を展開し、スポーツの魅力や価値を伝える取り組みを行っている。

今年1月に起きた能登半島地震の復興支援イベント「能登にエール アスリート こども支援」が石川で開催され、スポーツの力を通じて地域支援を行っている。

福島由紀さんなどのアスリートが参加し、スポーツ教室やトークイベントが行われ、能登の復興を支援する取り組みが行われた。

五輪開幕で考える「スポーツの力」 震災から半年、能登でバドミントン福島由紀が届けた涙のエール

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

「THE ANSWER」を運営するCreative2は、今年1月に起きた能登半島地震の復興支援イベント「能登にエール アスリート こども支援」を21日、石川・能登で開催した。正月に襲った震災から半年。パリ五輪が迫る中、スポーツの力で能登にエールを――。そんな願いを込めたスポーツ教室とトークショーに、パリ五輪を目指し、わずかに届かなかった一人の現役アスリートが参加。アスリートとして被災地の子どもたちに想いを届けた。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 パリ五輪が開幕する6日前。石川・能登のどこまでも高く、広い空に子どもたちの無垢な歓声が響く。

 今年1月1日午後4時10分、能登半島を襲った地震。犠牲者は300人超え、最大3万4000人が避難生活を余儀なくされ、故郷を出て、県外に移り住んだ人も少なくない。あれから半年。情報があふれ、記憶が刻々と上書きされる現代では「半年」は遠い過去になってしまうが、今も懸命に前に進もうとしている人がいる。

 スポーツの力で、能登にエールを――。

 そんな願いを持って開催された「能登にエール アスリート こども支援」に、ラグビー元日本代表の山田章仁さん、陸上アテネ五輪代表の伊藤友広さんとともに参加したのが、バドミントン女子ダブルスのフクヒロペアとして活躍する福島由紀さん。

 午前に行われたスポーツ教室で児童と運動したり、小さな子どもを抱っこして走ったりして、笑い合った。会場の芝生の隣、数メートルほどにあるアスファルトはひび割れたまま。規制された赤いコーンが今も消えない震災の爪痕を感じさせるが、この時間だけはそれを忘れさせた。

 復興はまだスタートも切れてない。 

 富山から車を走らせ、石川県内に入ると、車体が弾むように揺れ始める。そして、夏の空とも日本海の海原とも違う“青”が視界に飛び込む。隆起した地面が補修されておらず、割れた窓や崩れた屋根をブルーシートが覆っているからだ。

 震度6だった能登は、震度7だった輪島市や志賀町といった地域に比べ、被害規模だけで言えば小さい。

 しかし、地元関係者は言う。「能登は家屋の半壊以下が多い分、補助金が下りず、高齢者は立て直すのも躊躇する。『それなら、この街に住んでいなくてもいいのでは?』と思って、能登から離れる人もいる。そういう事実はなかなか世の中に知られない」。1万5000人から、およそ1000人減った。

 そんな場所で、スポーツに何ができるのか。

 奇しくもパリ五輪目前、福島さんがこの場所に来たい理由があった。午後、地元の能登高校の教室で行われた中高生向けのトークイベントで明かした。