最悪に近いアクシデント=清水負傷で大ピンチのなでしこジャパン。しかもスペインに完敗とダブルショックも、希望がないわけでは…【パリ五輪/コラム】

AI要約

なでしこジャパンは強豪スペインに逆転負けを喫し、初戦でダブルショックを受ける。

スペインの華麗なパスワークに苦しむ中、最終ラインの組み立てが稚拙でボール支配率を高められない状況が続く。

清水の負傷や清家の不振などアクシデントに見舞われたが、希望がないわけではなく次の試合に向けて気持ちを切り替えるべき。

最悪に近いアクシデント=清水負傷で大ピンチのなでしこジャパン。しかもスペインに完敗とダブルショックも、希望がないわけでは…【パリ五輪/コラム】

 藤野あおばのゴールで幸先よく先制しながらも終わってみれば1-2の逆転負け。パリ五輪のグループステージ初戦、なでしこジャパンは強豪スペインにスコア以上の実力差を見せつけられた。

 しかも、不動の右サイド・清水梨紗を怪我で失うアクシデント(途中交代)もあり、初戦黒星とのダブルショックを受けた印象すらある。左サイドバックや右ウイングバックで奮闘した若手・古賀塔子の奮闘などポジティブな面もあったが、追いつかれた後はひと言で“辛い”試合だった。

 パスを回されまくり、防戦一方。なんとかマイボールにしても出しどころがなくて、中途半端なクリアを続ける。スペインの華麗なパスワークに翻ろうされる形で体力を奪われ、逆転された後に反撃したくてもクオリティとスタミナがついてこないような状態だった。

 敗因のひとつは、最終ラインからの組み立てが稚拙な点だ。これは今に始まったわけではなく昨年の女子ワールドカップ以後からの課題だったが、改善の兆しはあまり見られなかった。チームとしてボール支配率を高められなかった一因はそこにあり、実際、司令塔の長谷川唯に良い形でボールが回るケースはかなり少なかった。

 

 選手に目を移せば、気になったのは左サイドハーフを任された清家貴子のコンディション。鋭いドリブル突破は影を潜め、守備面でも中途半端なポジショニングが目立つなど良いところがほとんどなかった。スペインに追いつかれた場面、清家のサイドから崩されたのは偶然ではないだろう。

 最悪に近いアクシデント=清水負傷(最重要戦力のひとりを欠くのだから)で大ピンチのなでしこジャパン。ただ、希望がないわけではない。出場12か国の今大会、決勝トーナメントは8チームで行なわれる。つまり、3グループの3位のうち2か国が準々決勝に進めるのだ。

 となると、スペイン戦の1-2というスコアをそこまで悲観的に捉えなくていい。グループステージは残り2試合あるし、後々この「得点1」、「得失点-1」が最終的にモノを言うかもしれないからだ。清水の状態はかなり心配だが、チームとして気持ちを切り替えて、次のブラジル戦に臨んでもらいたい。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)