天理の熱男・背番号12永野快星「人助ければ、わが身助かる」今夏未出場も仲間を想い続けた理由

AI要約

天理高校の春の奈良県王者・永野快星捕手(3年)は、高校最後の夏を迎えた際、ベンチ入りし、懸命に声を出してチームを盛り上げた。

永野は「天理の熱男」と呼ばれ、周囲を幸せにすることを大切に育てられた。チームスローガンは「チームのために」で、仲間のために尽力してきた。

今夏の出場はなかったが、代打で初安打を放ち、仲間の喜びを分かち合い、最後までチームを引っ張った永野は、次のステップに進む決意を示している。

 春の奈良県王者・天理には熱男がいた。副将でベンチ入りした背番号12の永野快星捕手(3年)だ。

 23日、奈良大会準々決勝でライバル智弁学園に敗れ、高校最後の夏は終わった。永野はキャッチボール相手やベンチ内では懸命に声を出し、ムードを盛り上げた。主将の松本大和内野手(3年)から託された役割があった。「ベンチワークは『頼むぞ』と言われていたので、声を出して全員を鼓舞しました」と振り返った。

 「天理の熱男」の異名を持ち、帽子のつばに大谷汰一外野手(3年)が「熱男」と書いてくれた。「ベンチ全員が盛り上がる」と大谷も頼りにする存在だ。

 原点は父勇二さん(45)の教え。「自分のことより、周りの人を幸せにしてほしい」。父の意図は「大人になって仕事をしていてきついことを言われても、人のために動いていたら、そのうちいいことが返ってくる。人のために動いてほしい」というものだった。

 チームスローガンは「チームのために」だ。「チームのためにやっていれば、神様がこっちに向いてくれると」。昨秋は無安打だったが、今春は代打で出場し公式戦初安打を放つと、ベンチは一層盛り上がった。「ヒットが打てたのはうれしいですけど、その一打で仲間が喜んでくれたことがうれしかった」と父は喜びをかみしめた。

 今夏の出場はなかったが、仲間のために動き回った。「もちろんずっと代打で準備はしていました。みんなと、今までずっと支えてくれたメンバー外や指導者へ感謝の思いを持って終わりたかった」と明かした。

 藤原忠理監督(58)は「よく指示を出して、声を出す。点差があっても、ベンチを盛り上げてくれることは大事。最後までベンチを引っ張ってくれて頼もしかった」と縁の下の力持ちをねぎらった。

 最後まで仲間を思った。「夏までは、レギュラーになるために食らいついたけど、今試合に出ている9人は天理でも誇れる文句なしの9人。自分の中で、悔いは1つもない。甲子園の夢は後輩に託して。絶対に行ってくれると思います」と新チームにエール。好きな言葉は「人助ければ、わが身助かる」。警察官を志し、まだまだ自分の道を歩いていく。【中島麗】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)