伝統のユニホームで始球式 PL学園軟式野球部、最後の夏へ

AI要約

PL学園高校軟式野球部が休部することになり、硬式野球部と同じユニホームが一旦消えることが報じられている。

PL学園中で軟式野球部でプレーしていた生徒が硬式野球部に参加し、現在唯一の硬式野球部員として活動している状況が明らかにされている。

始球式に登板するなど、軟式野球部と硬式野球部との繋がりや、部員たちの意気込みが語られている。

伝統のユニホームで始球式 PL学園軟式野球部、最後の夏へ

 高校野球を沸かせたユニホームが「最後の夏」を迎える――。全国の頂点に立ったこともあるPL学園高校(大阪)の軟式野球部が今夏、休部する。2016年の休部以降、大会に参加していない硬式野球部と同じ「PL GAKUEN」のユニホームが一旦消えることになる。

 25日の第69回全国高校軟式野球選手権大阪大会の開幕戦では、同校唯一の「硬式野球部員」で生徒会長の2年生、川村得(とく)選手(16)がユニホーム姿で始球式に登板。「自分がつないでいくことで、いつかPLの野球部が復活してほしい」と夢を語った。

 軟式野球部は5校でつくる連合チームの一員として26日の初戦に出場する。男子部員が3年生3人のみのため、この大会を最後に休部となる。

 川村選手はPL学園中では軟式野球部でプレーしていたが、当時の教諭がプロ野球のボールボーイをしていた経験を聞き「自分もあこがれ、目指したくなった」。プロ野球のボールボーイは硬式経験者が優遇されやすいこともあり、進学後に休部中だった硬式野球部のたった1人の部員となった。

 「KKコンビ」と呼ばれた桑田真澄、清原和博両元選手らが活躍し、春夏の甲子園で計7回優勝した硬式野球部は現在、大阪府高校野球連盟に加盟していない。そのため川村選手は教頭と2人で練習を続けていたが、昨年9月に軟式野球部の現3年生から練習に誘われた。01年に全国制覇を成し遂げた軟式野球部も、近年は生徒数の減少で単独出場ができなくなっていた。

 川村選手は硬式に籍を置きながら合同で練習するようになり、今年5月からは連合チームの練習にも参加した。「一緒に練習して、誰かがヒットを打った時に喜びを分かち合えるのはうれしかった」といい、今大会も3年生や連合チームの選手をサポートするつもりだった。

 そんな中、高野連の役員から始球式の打診があった。当初は断ろうと考えたが、軟式部員3人から「せっかくの機会だからやってみては」と背中を押され、参加を決意。初めて公式の場で、伝統のユニホームに袖を通すことになった。

 川村選手は始球式で力強い投球を披露。直前に大会本部のアナウンスでその経歴を聞いていた観客や他校の選手たちからは、大きな拍手が送られた。川村選手はマウンドを降りた後、「マウンドに立つと緊張してワンバウンドしてしまったが、貴重な経験をさせていただけたことに感謝したいです」と笑顔を見せた。

 26日の連合チームの試合でボールボーイを務めることも決まり「自分もチームの一員だと思いながら、試合進行をサポートしたい」と意気込んだ。【野原寛史】