パリ五輪、敵は「時差」 テレビ各局7時間の壁に挑む 深夜早朝はネット中継でカバー

AI要約

パリ五輪のテレビ放送がスタートし、日本時間の時差に苦しむ中、各局がメダル獲得の期待を背景に熱戦を繰り広げる。しかし、放送権料の高騰により五輪収支は厳しい状況にある。

テレビ各局は日本時間の夕方から翌朝にかけてのタイムテーブルを中心に競技を放送し、未明まで高視聴率を狙う姿勢を見せる。民放公式テレビ配信サービスも充実し、配信ニーズの高まりが予想される。

五輪関連番組の人気は高く、各局がバレーボールや競泳、柔道、卓球など注目競技の中継に力を入れる。NHKも810時間のテレビ放送を予定し、日本選手の活躍を子細漏らさず放送するとしている。

パリ五輪、敵は「時差」 テレビ各局7時間の壁に挑む 深夜早朝はネット中継でカバー

パリ五輪の一部競技がスタートし、テレビ各局が熱戦を伝え盛り上げる五輪シーズンがやってきた。前回東京での夏季大会との大きな違いは時差だ。日本のメダル獲得が期待される種目の重点放送は従来通りだが、日本時間深夜・未明の種目をインターネット配信でカバーし、生中継と見逃し配信で視聴者の獲得を狙う。一方、放送権料の高騰で民放全体の五輪収支は2012年以降、夏季3大会続いて赤字。今大会も厳しい見込みで、五輪と放送の在り方が問い直されている。

■未明まで高視聴率狙い

「NHKと民放各社が協力して全面展開する。精いっぱい、熱い戦いをお届けして、皆さんに楽しんでいただきたい」。テレビ朝日の篠塚浩社長は今月2日の定例会見で、パリ五輪への意気込みを語った。前回の東京五輪と比べて盛り上がりに欠けるとささやかれるなか、西新常務は「基本、始まった日から一気に盛り上がるというのが最近のパターンだ」と前向きだ。

テレビ局にとって、五輪は一大イベント。東京五輪が行われた21年は、年間個人高視聴率上位30番組に、パラリンピックを含む五輪関連番組が19番組も入った(ビデオリサーチ・関東地区調べ)。今大会も「日本選手のメダル獲得への期待が高まれば高まるほど注目が集まる」(民放関係者)とあって、各局がバレーボールや競泳、柔道、卓球など人気種目の中継に力を入れる。

NHKも負けてはいない。計810時間をパリ五輪のテレビ放送に費やし、開会式直前の26日午後7時半には「パリオリンピック2024 開会式直前スペシャル」を現地から生中継。稲葉延雄会長は24日の定例記者会見で、「日本選手の活躍は子細漏らさず放送する」と意気込んだ。

いずれの種目も、日本とフランスでは7時間の時差があるため、日本時間の夕方から翌朝にかけてのタイムテーブルを中心に編成されている。

■ほぼ全種目ライブ配信

スポーツイベントは地上波の生放送だけでなく、配信での視聴も盛んだ。ビデオリサーチによると、東京五輪では配信を視聴した人が全体の3割を超えた。今回のパリ五輪では時差のため、配信のニーズがさらに高まるとみられている。

民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」は、民放テレビの生中継番組を同時・見逃し配信するほか、テレビで放送されない競技も含め、全32競技329種目のほとんどをライブ配信する。