「クボ、ドウアンがいた3年前と違う」トルシエが斬るパリ五輪サッカー日本代表「本当に素晴らしい」“推しの藤田譲瑠チマ”以外で注目株は?

AI要約

フランス戦を通じて、U-23日本代表は自分たちのスタイルを貫く必要があることが明確になった。主に国内組で構成されているチームは、守備的な組織力と攻撃へのトランジションを重視している。

フランスに対しては1-1の引き分けで幸運だった面もあるが、グループ全体の統一力で勝負する姿勢が見られた。

個の能力や経験の不足は課題でもあるが、大岩監督がチーム全体をキャプテンシーでまとめることで、メダル獲得へ向けた可能性も示唆された。

「クボ、ドウアンがいた3年前と違う」トルシエが斬るパリ五輪サッカー日本代表「本当に素晴らしい」“推しの藤田譲瑠チマ”以外で注目株は?

大岩剛監督率いるU-23日本代表の、パリオリンピックでの挑戦が始まろうとしている。鈴木唯人や松木玖生らが未招集となり、さらにはオーバーエイジも使用しないチームは、シドニー五輪を率いたフィリップ・トルシエの目にどう映るか。大会期間を含めて集中的に聞いていく。まずは五輪直前の強化試合フランス戦(△1-1)を終えての印象を聞いた。(全2回)

 フィリップ・トルシエに電話をしたのは、大岩剛監督の囲み取材が終わり、ティエリ・アンリ監督の記者会見を終えた後のことだった。場所はトゥーロンのスタッド・マイヨール。21時5分にキックオフされた試合は11時過ぎに終わり、時計の針は午前零時を指そうとしていた。

 トルシエには、パリ五輪の男子日本代表の評論をお願いしていた。

 悲願であるメダルに手が届くのかどうか。日本とフランス、さらにはアジア・アフリカをはじめ世界のサッカーに精通したトルシエは、最適な分析者であるといえた。そのトルシエに、予定を前倒ししてフランスにとっては最終の、日本にとっては唯一の準備試合となったU-23フランス代表対U-23日本代表の試合も見てもらった。

 日本がボールを支配されながらも――1対1の引き分けで終えた試合を、トルシエはどう見たのか。

――試合は見ましたか。

トルシエ:ああ、見た。

――ゲームは支配されましたが、それでもいい試合だったのではないですか。

トルシエ:特に後半は支配された。しかしそれは日本がこの五輪を通じて実践するスタイルでもある。日本はリアクションのチームだ。そこに選択の余地はない。チームは主に国内組で構成されている。自信を持てるほどの個の能力や経験があるわけではない。必然的に規律ある組織的な守備に頼らざるを得ない。アグレッシブにプレスをかけてコンパクトなブロックを保つ。そこから攻撃へのトランジションをおこなう。日本に他の選択肢はない。

 選手陣容を見ると、半数以上が国内組だ。海外組にしても、シント・トロイデンはローカルなチームだし、個の能力で十分に屈強で自信に溢れた選手がいるわけではない。監督は組織化されて規律に溢れたチームを構築する以外になく、このフランス戦はそうしたチームのいいデモンストレーションとなった。

 内容的には1対3で負けていてもおかしくはなかった。フランスは絶好のチャンスを外し続けた。結果は現実を隠蔽し、日本にとってはポジティブな結果だが、日本の弱さを覆い隠したのも事実だ。