《スペシャル対談》三笘薫×石川祐希が語る“海外でナメられない意識”「性格もずいぶん変わった(三笘)」「自分の方が強いと証明するために(石川)」
サッカーとバレーボールで活躍する三笘薫と石川祐希が、世界での成功について対談。2人の初めての顔合わせは和やかな雰囲気で始まり、お互いの印象や海外での意識の変化について語られる。
三笘薫は走りながらのボールコントロールに定評があり、石川祐希は海外での経験から感情表現や自己主張が変化したことを明かす。
両選手は、海外でのプレーによって自身の性格や行動が変化し、日本代表でも海外での経験が必要だと感じていることを認める。
サッカーと、バレーボール。競技は異なるものの、ともに特別な才能をヨーロッパの舞台で磨き上げ、「エース」と呼ばれながら日本代表を牽引してきた三笘薫と石川祐希。2人が、世界で勝つための思考法を語り合った。
発売中のNumber1100号[スペシャル対談]三笘薫×石川祐希「日本を背負う覚悟と逆算」より内容を一部抜粋してお届けします。
初めての顔合わせとは思えぬ、軽快なトークだった。
「誰もが知っている選手だから、会うまでは緊張していました。でも、実際に話してみたらすごく柔らかい人だなって」
こう三笘薫が言えば、石川祐希が笑顔で応じる。サッカーとバレーボール、それぞれの競技で世界を舞台に目覚ましい活躍を見せ、日本代表も背負う2人が自身の「決断」について語り合う対談は、和やかな雰囲気で始まった。
――まずお互いの印象を聞かせてください。
三笘 僕は石川選手が大学時代に出てきた頃から見て、知っていたので、テレビの人というイメージが強いですね(笑)。
石川 今、プレーしているイタリアはサッカーが盛んですし、2022年のワールドカップのときなんかもチームメイトからよく三笘選手のことを聞かれましたよ。世界で活躍するアスリートの1人として、いつも僕も刺激をもらっています。すべての試合を見ているわけではないですけど、メディアやSNSにアップされているプレーを見ると、やっぱりドリブルのスピードがすごいなと感じますね。それで相手を抜いていくところも魅力的だなと。僕たちも実は練習で鳥かごをやることがあるんですけど、ボールがちょっと軽いのでトラップが難しくて。
三笘 そうなんですか?
石川 三笘選手は走りながらうまくボールをトラップして、捌いているわけじゃないですか。それが本当にすごいなと思って。
三笘 見てくれていただけでありがたい。
石川 今日お会いして少し話をさせてもらって、2歳年下なのにすごくしっかりしているなという印象ですし、どっしり構えているなという雰囲気もありますね。
三笘 見せかけてるだけです(笑)。でも、海外でなめられないようにという意識が自然とあらわれているのかもしれない。
石川 海外ではお人よしだと全部自分のせいにされちゃいますからね。
三笘 そこは競技が違ってもやっぱり同じですよね。そういう意識の持ち方は環境によって変わるというか、変えようとするというか……変えないと生きていけない。性格も以前に比べるとずいぶん変わったと思うし、ミスしたときの行動も結構大事だったりするので、そこは大きく変化したと思いますね。あとは周りに気を遣わないとか。アピールすることも重要ですし。
石川 日本代表のときはさすがに少し気を遣うところもありますが、クラブシーズンでは僕もまったく気を遣わないですね。感情表現も含めて、海外に行く前と後ではだいぶ変わったと思います。いいのか悪いのかは別として、思ったこともバンバン言うようになった。もし海外経験がないままだったら、変えられていなかったと思います。なめられないためにも、自分の方が強いと証明するためにも、そこは変化させるべきだと今は考えています。