ゴルフ本来の愉しさが味わえる『あるがまま』のプレー。ベテランシングルはこう考える【参上! ゴルファー応援隊】

AI要約

プロゴルファーとアマチュアとのルール理解の違いについて

「あるがまま」でのプレーの醍醐味とプリファード・ライの問題点

アマチュアゴルファーが「あるがまま」でのプレーを楽しむ姿勢の大切さ

ゴルフ本来の愉しさが味わえる『あるがまま』のプレー。ベテランシングルはこう考える【参上! ゴルファー応援隊】

ゴルフの上達を目指すゴルファーにとって役立つ情報を発信する「みんゴル・ゴルファー応援隊」。その隊長に就任したシングルプレーヤー・マツケンが上達のヒントになることを紹介。今回は、「たまには『あるがまま』でプレーしたい」がテーマです。

プロはルールを知らないと損をする、と言いますが、アマチュアの場合、ルールを知るともっとゴルフが愉しくなる。そんなお話をしたいと思います。

プロゴルファーの中でも、ルールの理解度にはかなりの個人差かあるようです。プレー中の処置に迷ったり、不安になってしまったりして、分かり切ったルールでも競技委員を要請してしまう。そんなプロも居ますし、ルールを熟知していて自分のプレーにしっかり生かしている選手もいます。

例えば雨天時のウェットなコンディションでよく使われる「プリファード・ライ」と呼ばれるローカルルールがあります。フェアウェイの芝に水分が多く含まれている状態だと、番手通りの距離が出にくくなったり、ボールに泥がついていると弾道に影響が出たりします。

結果がすべてのプロゴルファーにとって、そうした心配をせず、ボールを良いライに置き直してプレー出来る「プリファード・ライ」は、晴天時よりスコアが良くなるケースも多く、歓迎する選手がほとんどです。「スポーツの興行」という面からしても、荒天でも我慢大会にならず、バーディ合戦が期待出来る展開は願ってもないことでしょう。

でも、私的には、これはちょっと残念に思えてしまいます。本来、ゴルフの醍醐味は、「あるがまま」にプレーすることですよね。

僅か1センチ、ボールの位置がずれただけでも結果に影響が出ることもあるデリケートなゴルフ。次打を良いライから打てるかどうかはショットの良し悪しとは何の関係もありません。会心のドライバーショットが、ディボット跡に入っていたり、ちょっとしたキックで深いラフに入ってしまったり、どちらも「よく起こること」ですよね。

ゴルフゲームの「あるがまま」という原則が生むこうしたドラマこそ、ゴルフの醍醐味なのに、「プリファード・ライ」=「好きなライ」に置き直せるなんて、極端に言えば、ゲームの愉しさを放棄しているように感じてしまうのです。

「仕事」としてプレーしている彼らに罪は無いと思いますが、ひるがえって私たちアマチュアはどうでしょうか?

「6インチプレース」や「前進4打」。プレーの進行上という理由もあるかと思いますが、「あるがまま」ではない特別なルールでプレーしている方も多いと思います。これはちょっともったいない、と思ってしまいます。

せっかくゴルフというゲームに親しんでいるなら、たまには「あるがまま」にプレーされてみてはいかがでしょうか。

「ノータッチ、完全ホールアウト」と言われただけでプレッシャーに感じる方もいるかとは思います。

でも次打に向かう時、どんなライにボールがあるか分からないドキドキ。そしてライを見極めてから、打ち方や攻め方を考える楽しさ。こうしたゴルフ本来の愉しみを、いつもとは言いませんが、たまには味わって頂きたいと思うのです。

泥の付いたボールを、その泥がボールのどちら側に付いているかで、ボールの曲がり方を予測するのも楽しみです。「飛球方向に向かって右半球に泥が付いていたら、ドロー系のボールになる」。そんな定説があながち間違ってはいない、ということも毎回ボールを綺麗に拭いていたら分からなかったと思います。

ゴルフゲームには様々な「挑戦」が設けられています。自然の中で、風向きや、様々なコンディションを克服してプレーしていく。バンカーという砂からの脱出。激しい傾斜地や、行く手を阻む立木。

こうした「挑戦」とそれに伴う様々なドラマを生んできた「あるがまま」という原則。プロと違ってアマチュアだからこそ謳歌出来る「あるがまま」。

悪いライに止まった「不運」を呪うのではなく、そうした「挑戦」が出来る機会を愉しむ。そんな考え方もあることを知っていて頂けたらと思います。