神栖ワールドユースフットボール準決勝でインハイ出場校対決。耐えた帝京が2年生FWの一発で追いつき、尚志にPK戦勝利

AI要約

帝京高が尚志高をPK戦で下し、神栖ワールドユースフットボールの準決勝を制す。

両校はインターハイ出場校であり、予選リーグで1位の帝京と尚志が激闘を繰り広げる。

試合は一進一退の攻防であり、帝京は終盤に同点ゴールを決めPK戦で勝利する。

神栖ワールドユースフットボール準決勝でインハイ出場校対決。耐えた帝京が2年生FWの一発で追いつき、尚志にPK戦勝利

[7.15神栖ワールドユースフットボール準決勝 帝京高 1-1(PK4-3)尚志高 神栖市海浜サッカー場A]

 インターハイ出場校対決は帝京が制す――。「第1回神栖ワールドユースフットボール」は大会最終日の15日午前に準決勝を行い、予選リーグBグループ1位の帝京高(東京)と同Cグループ1位の尚志高(福島)が対戦。1-1で突入したPK戦の末、帝京が4-3で勝った。

 ともに今月27日開幕のインターハイに出場。互いに勝ち上がれば、準々決勝で対戦する有力校同士の“インハイ前哨戦”は、それぞれ自分たちの特長を表現しようとする。切り替えが速く、一進一退の攻防戦に。中でも、「まず守備から」を徹底する尚志が、より理想とする戦いを展開していた。

 FW岡大輝(2年)やMF千住澪央主将(3年)をはじめ、前から制限を掛けて帝京を狭い局面に追い込み、存在感を放つDF星慶次郎(3年)や相手にとって嫌な存在になっていたMF高橋響希(3年)らがボール奪取。MF大内完介(3年)や星が遠目の位置から強烈なシュートで相手ゴールを脅かす。

 帝京もMF砂押大翔主将(3年)やMF近江智哉(3年)らが2対1を作りながらボールを前進させたほか、CB田所莉旺(3年)が高精度のフィード。この日、公務で不在の藤倉寛監督に代わって指揮を執った落合貴嗣GKコーチから、「どこで相手の背後を取れるか。空くスペースを共有しよう」と助言されていたチームは、相手を見ながら背後を取ろうとする。

 18分には、砂押のパスからFW宮本周征(2年)が右のスペースを突いて右足シュート。だが、右WB荒川竜之介(3年)と左WB板垣大翔(3年)も係わって縦に速い攻撃を繰り出す尚志が、より多くのシュートシーンを作り出す。

 19分、スルーパスで左中間へ抜け出した大内が左足シュート。これは帝京GK大橋藍(3年)が反応してはじき出す。22分にもショートカウンターからMF西丸由都(3年)のパスで大内がPAへ潜り込むが、帝京は攻守の要・CB畑中叶空(3年)がカバーして得点を許さない。

 それでも尚志は前半23分、高橋の右CKを左WB板垣大翔(3年)が頭で叩きつけて先制ゴール。尚志はGK野田馨(3年)や星を中心にDF久保木壮(3年)、DF西館優真(3年)の3バックも隙を見せず、自分たちのペースで試合を進めた。

 一方の帝京は最前線のFW土屋裕豊(3年)やMF大屋雅治(3年)がボールを引き出し、右SH宮本、左SH堀江真広(3年)の両ワイドから崩そうとする。30分には砂押が敵陣での奪い返しから左足シュートを狙うも枠を外れ、尚志が1-0で前半を折り返した。

 尚志は後半、追加点のチャンスを作る。千住の折り返しから大内が放った決定的なシュートは帝京右SB大舘琉史朗(3年)がゴールカバー。また、相手の背後を狙う尚志は西丸や交代出場FW矢崎レイス(3年)がPAへ抜け出す。だが、帝京は際で強さを見せる田所のカバーリングや、1対1からのシュートをGK大橋が身体に当てるなど2点目を許さない。

 落合GKコーチも「苦しい中でGKを中心に凌いでくれたから得点に繋がった」と振り返ったように、この我慢強い守備が同点ゴールに結びついた。帝京は後半、MF杉岡侑樹(2年)やエースFW森田晃(3年)、MF小林爽人(2年)を投入。左SBラビーニ未蘭(3年)の推進力のある動きや杉岡の正確な配球などを交えて押し返す。

 終盤にかけて尚志にわずかな綻びが出始め、仲村浩二監督から指摘する声。30分ハーフのゲームを締めようとするが27分、帝京は左サイドから縦に仕掛けた宮本がDF2人を振り切って左足シュート。ニアのネットを射抜くファインショットで同点に追いついた。尚志もチャンスを作り返すが、1-1のまま後半終了。即PK戦に突入した。

 後攻の帝京は1人目の宮本、2人目の森田が連続で成功。3人目のMF安藤光大(3年)が意表を突くシュートを決めて盛り上がると、GK大橋が尚志4人目のシュートを読み切ってストップする。直後に砂押が決めると、最後は相手のキックがポストを直撃。プレミアリーグ勢を倒して決勝へ駒を進めた。

 尚志の仲村監督は、インターハイへ向けて「課題を抽出できたのは良かった」とコメント。2点目を決められなかったことや終盤の失点、そして各選手に「(準備を徹底して)自分で責任を持って蹴ること」を求めていたPKで甘さが出たことを指摘していた。選手たちは試合後、ピッチサイドで反省会。敗戦を糧に、地元Vを目指すトーナメント戦への準備を再開する。

 一方、勝った帝京の田所は、「プレミア相手にどれぐらいできるかなっていうところで、尚志はほんと勢いあって、ほんとに攻撃も豊かだったんで、ちょっと勢い負けする時間帯も多かったんですけど、耐えるところで耐えて、インターハイの前哨戦じゃないですけど、勝利できたのは良かった」と胸を張った。ただし、落合GKコーチは「チームとしての甘さ」とPK戦での選手たちの振る舞いを指摘し、選手たちも猛省。「神栖ワールドユースフットボール」の経験を活かして飛躍するために、自分たちで変わる。