御嶽海、一気の押しで大の里ねじ伏せる 自身デビュー10年目と御嶽山噴火被災者への思いを力に【大相撲名古屋場所】

AI要約

平幕の御嶽海が新関脇大の里を押し出し、大関陣総崩れの初日を演出。

御嶽海は慎重な相撲で大の里を圧倒し、自信を取り戻す。

名古屋場所前に御嶽神社で犠牲者へ思いを込め、十年目の地元への愛を胸に気持ちを高める。

御嶽海、一気の押しで大の里ねじ伏せる 自身デビュー10年目と御嶽山噴火被災者への思いを力に【大相撲名古屋場所】

◇14日 大相撲名古屋場所初日(ドルフィンズアリーナ)

 平幕の御嶽海(31)=出羽海=は、先場所覇者の新関脇大の里(24)=二所ノ関=を出足鋭く押し出した。3大関は全て敗れ、2場所続けて初日に大関陣総崩れとなった。

 悲鳴とどよめきを巻き起こしながら御嶽海が、大の里を完封した。低い立ち合いで密着して相手の必殺の右差しを許さず、電車道の押し出し。優勝3度の大関経験者の意地が、先場所で史上最速の入門から7場所で賜杯をつかんだニューヒーローをねじ伏せた。

 「しっかり集中して、自分の相撲が取れた。自分のことだけ考えて、自分のできる範囲で」と冷静に振り返ってから「(大の里は)若手だし、緊張してただろうから」。相手を気遣う余裕が、完璧な内容の証拠だった。

 角界入りから10年目の名古屋場所は、自身と深く関わるもう一つの「10年」をかみしめる時間でもある。名古屋入り直前の6月下旬、出身地の長野県上松町からほど近い同県木曽町の御嶽神社に足を運んだ。

 「気が引き締まりました」

 2014年9月の御嶽山の噴火からもうすぐ10年。発生翌年と5年目に続き、58人の犠牲者へ思いを込め、手を合わせた。故郷からのエールと慰霊の2本柱が、1年ぶりの上位挑戦の気持ちの支えになる。

 地元のシンボルから取ったしこ名は、いつでも「誰かのために」という力を気付かせてくれる。

 「お相撲さんじゃなくても結局、いくつ頑張る要素があるか。自分の場合は、家族に加えて御嶽山の噴火で被害に遭った方の思いも背負っている」

 三役で自身より年上は照ノ富士だけ。若手の壁になる意識を問われて「全然。なれるようなタイプじゃないから」とひょうひょう。18年の名古屋場所で初優勝した験の良い準ご当地ドルフィンズアリーナ最後の15日間で、主役に躍り出るチャンスをうかがう。