【宮田莉朋F2密着】プライムタイヤスタートで浮上できずに終わった日曜日/第8戦レビュー後編

AI要約

2024年FIA F2の第8戦シルバーストンのフィーチャーレースは、タイヤ戦略が勝敗を左右する厳しいコンディションだった。

オプションタイヤスタート組が上位に躍り出て、プライムタイヤスタート組も苦戦する展開となった。

宮田莉朋はプライムタイヤスタートからの苦戦を振り返り、チームとのコミュニケーションの重要性を強調した。

【宮田莉朋F2密着】プライムタイヤスタートで浮上できずに終わった日曜日/第8戦レビュー後編

 2024年FIA F2の第8戦シルバーストンのフィーチャーレース(決勝レース2)の直前に行われたFIA F3のレースは雨が降ったり止んだりする難しいコンディションだった。しかし、その雨雲はサーキットから遠ざかり、FIA F2はのフィーチャーレースはドライコンディションでスタートが切られることになった。

 そうなると、重要となるのがタイヤ戦略。フィーチャーレースではドライコンディションの場合、少なくとも1回はピットインし、異なる種類のタイヤに履き替えなければならないからだ。

 予選上位勢の多くがオプションタイヤ(ソフトタイヤ)でスタートして、ピットストップ後にプライムタイヤ(ハードタイヤ)を履く選択した。その戦略は功を奏し、レースでもトップ3はオプションタイヤスタート組。2位表彰台を獲得したチームメートのゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)もオプションタイヤでスタートしていた。

 一方、11番グリッドの宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)はプライムタイヤでのスタートとなった。

「スタートはホイールスピンが多すぎて良くなかったです。原因は調べてみないとわかりませんが、タイヤ選択(硬めのプライムでスタートしていたこと)も関係していたのかもしれません」と語る宮田は、スタートで出遅れて11番手から18番手までポジションを落とす。

 その後、宮田は前を走るドライバーが数珠繋ぎなってDRSを使用する、いわゆる『DRSトレイン』に塞がれ、なかなか浮上するチャンスがないまま、レース後半にオプションタイヤに交換。

 軟らかいタイヤでレース終盤追い上げたかったが、タイヤへの負荷が大きいオプションタイヤの性能は交換した直後から落ち始め、17位でフィニッシュするのが精一杯だった。

 フィーチャーレース終了直後、宮田はプライムタイヤでスタートしたチームの判断について、「しっかりと話し合いたい」と語った。

「チームが採る戦略にはいつもリスペクトしています。ただ、今回に関しては正直、これからチームとしっかりとコミュニケーションをとりたいと思います。というのも、今回のスタートタイヤに関しては、事前にチームに僕の意見を伝えていたつもりだったのに、どうして(僕の意見とは違う)プライムタイヤだったのかについては、チームからの説明を聞きたいし、しっかりと話し合いたいと思っています」

「今回のレースに関してはオプションスタートで、早めにピットインしてプライムで走り切るという作戦が成功していて、それは僕もずっとそうなるだろうなと思っていたことだったので、その点を確認したいです」

 経験のないサーキットでも少しずつ自分の力を出せるようになってきた宮田。ただ、結果を出すには、週末を完璧に近いかたちで戦わなければならない。そのためには、チームとしっかりとコミュニケーションをとることは非常に大切だ。レースはドライバーとチームが噛み合わなければ、決していい結果にはつながらない。今回のフィーチャーレースはまさにそんな内容だった。

 それでも宮田は前を向く。

「なかなか歯車が噛み合わなくて結果として現れていないのが歯がゆいところです。とはいえ、今回のシルバーストンも予選で9番手のチームメートのゼイン、そしてスプリントレースで優勝したアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)選手と、予選では接近したタイムを出していたので、焦らずに経験したことを次につなげていくことに集中したいです」

 次戦となる第9戦の舞台、ハンガリーのブダペストは過去に日本人ドライバーがGP2で優勝し、FIA F2では表彰台を獲得したこともある、日本人ドライバーとは相性がいいコース。宮田にとっては再び初めてのコースとなるが、歯車が噛み合えば、結果につながると信じている。

[オートスポーツweb 2024年07月09日]