父の祖国・フランスへ…豊田兼「素直にうれしい」400m障害Vでパリ切符 日本選手権/陸上

AI要約

男子400メートル障害で豊田兼が大会新記録を樹立し、五輪代表内定を勝ち取った。

豊田は父がフランス人、母が日本人であり、障害種目を中心に活躍してきた。

豊田はこれでパリ五輪代表入りが決まり、今後もさらなる挑戦を続ける。

父の祖国・フランスへ…豊田兼「素直にうれしい」400m障害Vでパリ切符 日本選手権/陸上

陸上・日本選手権第2日(28日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)パリ五輪代表選考会を兼ねて行われ、男子400メートル障害決勝で五輪参加標準記録を突破していた豊田兼(21)=慶大4年=が、大会新記録の47秒99で初優勝。日本陸連の選考規定を満たして五輪代表入りが決まった。

初めての五輪の大舞台出場を初Vで決めた。男子400メートル障害で豊田が、日本史上3人目の48秒切りとなる大会新の47秒99で圧勝。パリ五輪代表内定を勝ち取り、さわやかな笑みを浮かべた。

「素直にうれしいです。48秒台前半を目標にしていて、まさか47秒台に入るとは思っていなくて。パリ五輪(代表)を勝ち取ることができて満足しています」

既に参加標準記録を突破しており、優勝なら五輪代表に即内定の条件。独特な緊張感の中で号砲が鳴り、飛び出した。前半から積極的に飛ばし、250メートル付近でトップに。195センチの長身を生かした大きな走りで最後の直線は一人旅。危なげなく勝ち切った。

東京都出身で、フランス人の父と日本人の母を持つ。母の影響で小学年で陸上を始め、東京・桐朋中時代は四種競技を専門にしていた。障害種目を本格的に始めたのは、都内屈指の進学校でエスカレーター式に進学した桐朋高に入ってからだった。

中学1年から豊田を指導する同高陸上部顧問の外堀宏幸さんは「当時からパリ五輪に出たいと話していたと思う」と振り返る。勉強と両立しながら、距離を踏む練習ではとにかく自分を追い込んだ。体質もあり、毎度のように吐くほどだったという。外堀さんは「そのくらい追い込めるんです」と語った。

目標に掲げていた父の母国で開催される五輪。まずは大本命の400メートル障害で切符を獲得した。ただ、挑戦はこれで終わらない。29日には男子110メートル障害の予選に出場する。日本史上初のハードル2種目での五輪出場へ。豊田の快進撃は、まだまだ始まったばかりだ。(高橋朝香)

■豊田 兼(とよだ・けん) 2002(平成14)年10月15日生まれ、21歳。東京都出身。フランス出身の父と日本人の母を持つ。桐朋中、桐朋高から慶大に進み、現在4年。小学2年で陸上を始める。23年10月に400メートル障害で日本歴代6位(当時)となる48秒47を出し、パリ五輪の参加標準記録を突破。24年5月のセイコー・ゴールデングランプリでは48秒36の自己ベストで優勝。195センチ。