天皇杯で起こった大番狂わせ なぜJ1首位の町田が筑波大に敗れたのか

AI要約

天皇杯2回戦で、J1首位の町田が筑波大にPK戦で敗れ、ジャイアントキリングを喫した。町田は度重なるイレギュラーに苦しみ、 strategizedPK戦で敗北した。

町田は怪我人が続出し、10人でプレーする苦しい状況に追い込まれた。PK戦は筑波大の戦略的アプローチが功を奏し、町田に対する情報収集が優位に立った。

結局、筑波大による4-2のPK戦で町田が敗れたが、これは町田にとって今後のリーグ戦にも影響を及ぼす重大な敗北となった。

天皇杯で起こった大番狂わせ なぜJ1首位の町田が筑波大に敗れたのか

 12日に行われたサッカー天皇杯の2回戦で、J1首位の町田が筑波大(茨城)に、延長を終えて1-1から突入したPK戦(2-4)の末、ジャイアントキリングを食らった。今季、クラブ史上初のJ1挑戦ながら、快進撃を続けていた町田にとって「まさか」といえる敗戦。その背景には町田の度重なるイレギュラーと、狙い通りのPK戦に持ち込んだ筑波大の策略があった。

 町田の本拠地で起こった大番狂わせは、多くの要素がかみ合った結果だった。町田はルヴァン杯プレーオフ第2戦のC大阪戦から中2日で、15日にリーグ・横浜M戦を中2日で控えている状況。選手のマネジメントが重要となる中、黒田監督はC大阪戦でフル出場したセンターバック(CB)のDF昌子、ドレシェビッチの2人をベンチ外にし、ベンチメンバーにCBが本職の選手を入れずに臨んだ。

 すると前半8分にCBの張敏圭が相手と交錯して負傷交代。早い段階から、普段はサイドバックでプレーするDF望月をCBで起用せざるを得なくなり、徐々に歯車が狂い始めた。同22分にはMF安井が先制弾を決めるも、シュートの際に相手と接触し、立ち上がれずに交代。前半25分までに想定外の形で、3回までの交代回数のうち2回を消費することになり、黒田監督も「必要以上に(交代)カードを早く切らないといけなかった」と誤算を嘆いた。

 後半35分ごろには途中出場のFW羅相浩が負傷。交代枠を使い切っていたため、残り時間を10人で戦うことになり、追加タイム(ロスタイム)に追いつかれた。交代枠が増えて11人になった延長戦も、足を引きずりながらプレーしていた先発のFWデュークが後半9分に倒れ込んで再び10人に。ボロボロの状態の中、勝ち越せずPK戦に持ち込まれた。

 PK戦こそが、筑波大の狙いだった。小井土監督は「われわれはアマチュアなので、おそらく相手側にはPKの情報は入っていなかったと思う。逆に町田さんのことはPKも含めて入念に準備していたので情報の面で分があった」と明かした。PK戦で町田の3人目を止めたGK佐藤も「PK戦ではこうやる、って決めていたので余計なことを考えずに横に飛ぶだけだった」と話し、町田にとっては相手の土俵だった。

 筑波大のキッカー5人中4人に決められて敗戦。特に1人目のキッカーだったU-23アジア杯日本代表のFW内野は、壮大な伏線を明かしている。「相手のGKが『おまえのことは分析済みだぞ』みたいなことを目の前で言ってきた」。その時、4月にU-23日本代表でともに活動した際のMF平河(町田)とのやりとりが頭に浮かんだという。「『PK上手だね』って言われた時に『俺は左って決めてます』って言っていたので…右に蹴るだけでした」と逆手に取った。

 町田にとっては、ただの1敗ではなく、今後のリーグ戦に影響が及ぶ敗戦となった。1試合で4人が大ケガを負い「リーグ戦で使えない選手が出てくる以上、本当に現実を突きつけられたという感じだし、何も得られなかった」と指揮官。史上初となる初昇格1年目でのJ1制覇への影響が懸念されるが、クラブ一丸となってこの窮地を乗り越えるしかない。(デイリースポーツ・松田和城)