歴代日本選手最高の年俸約10億円…伊藤洋輝がバイエルン完全移籍 対戦時「ワクワクより恐怖だった」ビッグクラブの一員に

AI要約

バイエルンが日本代表DF伊藤洋輝の獲得を発表。移籍金は約50億円で四年契約。年俸は約10億円と報じられる。

伊藤はシュツットガルトで高評価を受け、バイエルンに移籍。バイエルンスポーツダイレクターの評価も高い。

バイエルンは過去20年で最多の失点数を喫し、来季は元ベルギー代表DFコンパニを新監督に迎える。伊藤は守備の立て直しを期待される。

歴代日本選手最高の年俸約10億円…伊藤洋輝がバイエルン完全移籍 対戦時「ワクワクより恐怖だった」ビッグクラブの一員に

 ドイツ1部・バイエルンは13日、同1部・シュツットガルトの日本代表DF伊藤洋輝(25)の完全移籍での獲得を発表した。28年6月30日までの4年契約。シュツットガルトに支払われる移籍金は約50億円で、年俸は歴代日本人で最高額の推定約10億円にも上るもようだ。高い評価を受け、ドイツ1部で最多の33回優勝、欧州CLでも6度の優勝を誇る世界的ビッグクラブの一員となる。

 ドイツで評価を高め続けてきた伊藤が、名門中の名門・バイエルンへと到達した。クラブの公式サイトには幹部たちと笑顔で並ぶ姿や、ユニホーム姿が掲載され「世界最大のクラブのひとつでプレーできることを光栄に思います」とコメント。現在の森保ジャパンではアーセナルDF冨安、リバプールMF遠藤に続くビッグクラブへの移籍。推定年俸は10億円と、日本人選手では初の大台に到達したとみられる。25歳と選手として充実期にあり、さらにドイツでの実績も十分な点が、過去の日本人を超える高評価につながったもようだ。

 伊藤は今季2位と躍進したシュツットガルトで、センターバックや左サイドバックとして26試合に出場。負傷やアジア杯での離脱を除き、不動のレギュラーとして君臨した。188センチの長身、利き足の左足から繰り出す高精度のパス、さらにカバーリングのスピードにも優れ、3バックにも4バックにも対応可能。バイエルンのスポーツダイレクターを務めるエベル氏は「洋輝は我々が求めるすべてを持っています。我々にとって、真の補強となるでしょう」と評価した。

 バイエルンは今季、3位に終わってリーグ11連覇でストップ。失点数45は過去20年間で最多だった。来季は18年ロシアW杯の決勝トーナメント1回戦、日本戦にも出場していた元ベルギー代表DFコンパニ氏を新監督に招へい。伊藤はかつて名センターバックとして鳴らしたコンパニ監督の下、守備立て直しの一端を担うべく、韓国代表DF金ブン哉(27)らと、し烈なポジション争いに挑むことになる。

 22年カタールW杯ではDF長友のバックアッパーを務めたが、1次リーグ第2戦・コスタリカ戦での消極的なバックパスなどで、ファンから非難を受けたこともあった。しかし、その後も成長を続け、今や森保ジャパンにも欠かせない存在に。Jリーグ時代はJ1で出場わずか3試合と目立った結果は残せなかったが、ドイツで大きく花開き、つかんだ“ジャーマンドリーム”。勝利を義務づけられた新天地で、ドイツ王座の奪還と、いまだ日本人が成し遂げたことがない欧州CL優勝という目標に挑む。

 ◆伊藤 洋輝(いとう・ひろき)

 ▼生まれとサイズ 1999年5月12日、静岡・浜松市。188センチ、84キロ。左利き

 ▼中村俊輔を崇拝 磐田時代、当時リハビリ中だった俊輔から多くの助言を受けた。「出られなかった時期に一番近くにいて応援してくれた存在。永遠に感謝している」

 ▼強い海外志向 高3だった磐田U―18時代にオランダの名門アヤックスに練習参加。水面下で打診も折り合わなかった。磐田時代のキャンプでも若手がゲームに興じる中、宿舎で欧州の試合を俊輔とともに観戦。

 ▼バイエルンへの思い 強豪バイエルンの試合を熱心に研究。「すべてにおいてリーグで一つ抜けている」とリスペクト。ただ対戦時は「ワクワクより恐怖だった」

 ▼かつてはボランチ プロ初年度はボランチ。強いこだわりがあったが、試合に出られずDF転向を決断。

 ◆バイエルン・ミュンヘン ドイツ1部ブンデスリーガ在籍。1900年創設。バイエルン州ミュンヘンに本拠を置く。主なOBにフランツ・ベッケンバウアー、ローター・マテウス、ゲルト・ミュラー、オリバー・カーンら。日本人ではFW宇佐美貴史(11~12年シーズン在籍。現G大阪)、MF福井太智(22年9月から在籍。今季はポルトガル1部・ポルティモネンセに期限付き移籍)がプレー。本拠地は06年ドイツW杯、21年欧州選手権でも使用されたアリアンツ・アレーナ(約7万5000人収容)。