躍進するライバル大との違いは何か 全日本大学野球の大敗で痛感したメンタルの重要性

AI要約

八戸学院大学が天理大学に11-1で5回コールド負けを喫し、悔しさを口にした小林日出主将

富士大学の成功が八戸学院大に逆風と希望をもたらし、リーグの実力を高く評価

八戸学院大の成長やチーム力強化の取り組み、リーグ戦での健闘について紹介

躍進するライバル大との違いは何か 全日本大学野球の大敗で痛感したメンタルの重要性

第73回全日本大学野球選手権大会3日目、5年ぶり9回目出場の八戸学院大学は天理大学との初戦に臨み、1-11で5回コールド負けを喫した。「全国で通用するかどうか確かめに来たんですけど、自分たちのよさを何一つ出せなかった。悔しさしかないです」。試合後、主将の小林日出(4年、能代)はそう言葉を絞り出した。

昨年は北東北大学野球連盟のライバル校・富士大学が、春の全日本大学野球選手権、秋の明治神宮野球大会で続けて全国4強入りを果たした。秋の北東北大学野球リーグ戦は八戸学院大が優勝したが、明治神宮野球大会出場をかけた東北地区大学野球王座決定戦では、リーグ戦2位の富士大に勝ち抜きを許し、全国切符を譲ってしまっていた。

2年秋から打線の中軸を担い続けている小林は、「富士大は全国でも結果を残している。こんなにも高い壁があるのか」と脅威を感じていた。ただ、富士大の躍進は、逆に希望にもなった。「富士大が活躍することで、(北東北大学野球)リーグのレベルが低くないのだと実感し、自分たちも全国で通用するのではないかと思うようになりました」

今春のリーグ戦はドラフト候補を多数そろえる富士大が、好投手擁する青森中央学院大学、ノースアジア大学、岩手大学に土をつけられ2位。八戸学院大は最終節の富士大戦こそ連敗したものの、青森大学を含む4校相手には全勝し、2季連続で頂点に立った。

どこが優勝してもおかしくない、実力伯仲のリーグ。小林は「どのチームが相手でも手を抜けない。全10試合、全力で戦わないと落としてしまう。すごい打者もたくさんいて、刺激的です」と北東北のレベルの高さを語る。そんなリーグを代表して出場するからこそ、勝ちたかった。

昨秋、新チーム発足と同時に主将に就任。本人は「下級生の頃から(将来的な)キャプテンっぽく振る舞ってきたわけではない」と話すが、経験値の高さを買われ大役を任された。

本人いわく「強く言う」タイプの主将ではない。それでも要所でチームを引き締め、オフ期間は全体の細かい課題を減らすべく、「妥協しない」練習を先導した。大学での全国大会出場経験のない同期とは、「今年こそ注目されていい思いをしよう」を合言葉にして励まし合った。「全国で通用する」チームづくりは着実に進んだ。

春先のオープン戦では、劣勢をはね返せずに敗れる試合が続いたものの、ノースアジア大とのリーグ開幕節で、いずれもタイブレークまでもつれる接戦を制して連勝すると波に乗った。小林は「リーグ戦を戦う中で力をつけ、成長できたと思います」と振り返る。

小林が特にチームの成長を感じたのは、控え選手の姿勢だ。「去年はスタメンの選手とベンチの選手に温度差があった。今年はベンチの選手も常に声を出して盛り上げて、『自分の出番がどこかで来る』と信じて準備していました」。開幕2戦目で代打の永田琉偉(4年、東海大菅生)がサヨナラ打を放ったように、実際にチャンスをものにできる選手も増えてきた。

投手陣も特定の投手に頼りきりにならない、緻密(ちみつ)な継投策で勝利を引き寄せた。チーム一丸となって戦えることが、八戸学院大の強みになった。