かんむり座で9月までに新星爆発か 約80年ぶり、明るさは北極星並み

AI要約

かんむり座T星が約80年ぶりに新星爆発を起こす予測が注目されている。

爆発しても星自体は消滅せず、肉眼で見られるほど明るく輝く。

観測期間は数日間で、爆発後すぐに天空を確認する必要がある。

地球から約3千光年離れた「かんむり座T星」が、9月までに約80年ぶりとなる「新星爆発」を起こすとの予測が天文関係者らの間で注目されている。爆発しても星自体は消滅せず、超新星爆発とも異なるが、北極星並みの明るさで輝くという。肉眼で見られる新星爆発の予測は非常に珍しく、専門家は「できれば爆発前にかんむり座を確認し、爆発後と比べてほしい」と話す。

■普段は10等星の暗さ

かんむり座T星は、太陽のように自らのエネルギーで輝く恒星が年老いて、暗く小さくなった「白色矮星(わいせい)」と、膨張して輝く「赤色巨星」の2つの星からなる連星で、互いに相手の周りを回っている。普段は10等星ほどの明るさで、肉眼で見ることは難しい。

この星の特徴は、赤色巨星から白色矮星に向け、水素を大量に含むガスが流れ込んでいることだ。水素が白色矮星にたまり続け、一定の高温および高圧状態に達すると、核融合反応が始まって大爆発を起こす。それが地上からは、新しい星が突然現れたように見えることから「新星爆発」と呼ばれる。

爆発するのは水素だけなので白色矮星は残り、次の爆発まで再び水素をため続ける。恒星が最期を迎え、ほぼ消滅する超新星爆発とは別物だ。

かんむり座T星が新星爆発を起こす周期は約80年とされる。前回は1946(昭和21)年、その前は1866(慶応2)年に観測された。そこで次回は2026(令和8)年かと思われてきたが、昨年2月ごろに始まった減光を1946年の事例に当てはめると、今年9月までに爆発する可能性が高いという。

■肉眼での観測は数日間

新星爆発が起きると、過去2回の事例にならえば、北極星に匹敵する2~3等星くらいの明るさとなる。国立天文台(東京都三鷹市)によると、最も明るい状態が数時間続いた後、1日もたてば半分くらいの明るさになるという。肉眼で観測できるのは数日間で比較的短いため、「一報を聞いて天気が良ければ、すぐに夜空を見上げた方がいい」と、国立天文台で天文情報センター長を務める山岡均准教授は話す。

かんむり座は今の時期であれば夜間に見ることができ、3つの明るい星からなる「春の大三角」よりも東側にある。このうち新星爆発を起こすとされるT星は、星座を結んだ線よりも、さらにやや東側だ。