まもなく到来、「秋分のオーロラシーズン」に備えよう 

AI要約

地球は秋分の日の前後にオーロラシーズンを迎え、太陽活動が活発なため強力なオーロラが出現しやすくなる。

太陽の磁気と地球の磁場の関係から、9月は磁気嵐の影響が特に大きくなり、春分・秋分に地磁気活動が活発になる時期である。

磁気リコネクションにより、春分・秋分に地球の磁気圏で太陽風のエネルギーが増加し、オーロラが発生しやすくなる。10月初旬もオーロラが見られる可能性がある。

まもなく到来、「秋分のオーロラシーズン」に備えよう 

地球はまもなく、太陽との位置関係において、地磁気活動が活発になりやすい状態を迎える。これは、強力なオーロラが出現しやすくなることを意味する。太陽活動が過去23年間で最も活発化しているため、通常より低緯度の北緯40度付近や、さらに赤道に近い地域でも、オーロラを観測できる可能性がある。

今年5月10日~12日に大規模な磁気嵐が世界各地を覆った際には、米アリゾナ州やフロリダ州など米南部でも色鮮やかで壮大なオーロラが目撃された。

最大強度「G5」の磁気嵐がいつ、どこで再び発生するかは誰にもわからないが、9月は磁気嵐の影響がより大きくなりがちだ。それには、地球の磁場と太陽風の磁場の向きが関係している。しかも、現在は太陽活動が極大期を迎えつつあり、磁場の強さが2倍ほどになっている。

英地質調査所(BGS)のデータによれば、磁気嵐の発生は夏・冬よりも春・秋に多く、9月下旬と4月上旬が1年で最も地磁気活動が活発になる時期だ。

本稿では、秋分の日の前後に訪れるオーロラシーズンについて知っておくべきこと、すなわち感動的な天文ショーがどのような原理で起こり、なぜそれを見逃すべきでないのかを説明しよう。

■「分点のオーロラシーズン」とは

年2回の「分点」、つまり3月下旬の春分と9月下旬の秋分の前後は、大規模なオーロラの出現率が高くなる。今年は9月22日に秋分の日を迎え、地球上のあらゆる場所で昼と夜の時間が12時間ずつになる。北半球では夏から秋へ、南半球では冬から春への季節の変わり目でもある。

四季の移り変わりがあるのは、地球の自転軸(地軸)が23.4度傾いているからだ。春分・秋分の日には地軸が太陽に対して垂直になり、それが「Equinoctial Effect(分点効果)」を引き起こす。

■「Equinoctial Effect」とは

地球は巨大な磁石だ。地球の磁場の影響が強く及んでいる宇宙空間を磁気圏と呼び、そこには磁石と同様に南北の磁極がある。太陽の磁場にもS極とN極があり、太陽大気から放出されたプラズマの流れである太陽風にも磁場の向きがある。

分点の日には地球の磁極が太陽風の吹いてくる方向に対して垂直になり、地球の磁場が弱まるため、通常時なら磁気圏の境界で弾かれるはずの太陽風のエネルギー粒子が磁気圏内に入り込んでくる。この結果、弱い磁気嵐でも壮大なオーロラの引き金になるのだ。だが、それだけではない。

■「ラッセル・マクフェロン効果」とは

これは米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者2人が1972年に発表した論文で提唱した理論で、「地磁気活動の半年ごとの変化」を通じてオーロラが3月と9月に多く報告される理由を説明しようとしたものだ。

この理論によると、すべては磁気リコネクション(磁力線再結合)に関係しているという。磁気リコネクションとは、互いに逆方向を向いた磁力線が接触し、つなぎ変わる現象である。春分・秋分に地軸が太陽に対して垂直になると、太陽風と地球の磁場の境界で磁気リコネクションが起こりやすくなる。

磁気圏境界で磁気リコネクションが起こると、磁気圏に「亀裂」が生じた状態になり、より多くの太陽風エネルギーが磁気圏に取り込まれる。取り込まれたエネルギーは地球の磁力線に沿って地球の極へと向かう。太陽活動によって引き起こされる磁気嵐は、理論上、春分・秋分の前後に通常よりも激しくなる。

この影響は春分・秋分の日の約10日後まで遅れて生じる可能性が指摘されており、10月上旬はオーロラが発生しやすい時期となる。