絶滅危惧種のニシネズミザメ、より大きなサメに食べられていた

AI要約

ニシネズミザメが大型のサメに補食された事例が初めて記録された。IUCNの絶滅危惧種に指定されており、深刻な個体数減少が懸念される。

海洋生物学者が行った調査で、ニシネズミザメが補食されたことが判明。被補食体は妊娠中の個体であり、他のサメに食べられた可能性が高い。

補食に関するこの研究は科学的に初めての記録であり、海洋生物学にとって重要な発見となった。

絶滅危惧種のニシネズミザメ、より大きなサメに食べられていた

厳しすぎる世界…。

ニシネズミザメを追跡調査していた研究者たちは、いきなり恐ろしい事実を突きつけられました。ニシネズミザメに取り付けていた送信機から、通常とは異なる水深と水温のデータを受信したんです。研究者たちは、追跡対象の個体がより大型のサメに捕食されたと結論づけました。

ニシネズミザメが他のサメに捕食されたのは、記録上これが初めてなのだそう。IUCNの絶滅危惧種に指定され、すでに深刻な個体数減少に直面している種にとって、待っているのは悲惨な末路かもしれません。

元アリゾナ州立大学大学院生のブルック・アンダーソン氏を含む海洋生物学者たちは、2020年10月にマサチューセッツ州のケープコッド南東の大西洋で実施したニシネズミザメの調査でメスの個体を捕獲後、ヒレに衛星通信機能付きの発信機を装着して解放しました。1年後に体から離れるように設計された発信機が浮上すると、研究者らがデータを収集できる仕組みです。

研究チームは2021年4月、追跡していた体長が2.13mある妊娠中のニシネズミザメから幾重にも異常なデータを受信しました。1点目は、まず発信機が5カ月後にバミューダ諸島付近で外れてしまったこと。2点目は発信機が浮上する前の週のデータで、その個体がいたはずの海域よりもはるかに水温が高かったといいます。

考えられる理由はたったひとつ。異常なデータを示していた週に、追跡調査していた個体に取り付けられていた発信機、そしておそらくニシネズミザメの体の一部が、その個体を補食したと思われる海洋生物の消化器官内にあったと…。

北大西洋から南大西洋、太平洋、そしてインド洋に生息するニシネズミザメは、全長3.7m、体重227kgまで成長します。海洋科学誌Frontiers in Marine Scienceに掲載された研究論文で、アンダーソン氏ら研究チームは、ニシネズミザメを補食したのは、より体が大きいホオジロザメかアオザメのどちらかに違いないと結論づけています。

アンダーソン氏は今回の発見について、プレスリリースで

ニシネズミザメの補食が科学的に記録された世界で初めての例です。

と述べています。