なぜ“ウロウロ&ノロノロ” 日本中が翻弄された「台風10号」 フィリピン東で新たに11号が発生 本格的シーズン到来の可能性は 岡気象予報士が解説
台風10号は進路が定まらず、スピードが遅い影響で日本各地を長期にわたって翻弄した。
台風の進路が寒冷渦に引っ張られ西に変化した要因や海水温の影響による急発達などが影響した。
熱帯付近の海水温が高い状況が続くなか、今後も台風の影響に警戒が必要で、9~10月にも警戒が必要との予測が出ている。
動きの遅い台風10号。当初は先週火曜日ごろに日本列島を直撃する予報でしたが、西寄りにコースが変わったため、週末まで影響が長期化。日本各地が台風に翻弄される事態となりました。
なぜこれほど速度が遅く、進路も定まらなかったのか。気象予報士の岡 雄介さんに解説してもらいます。
台風10号は22日(木)、日本の南の海上で発生しました。当初は、近畿に直撃するのは週明け27日(火)辺りと予想されていましたが、25日(日)ごろ予報円に大きな変化がありました。
上空の寒気を伴った低気圧「寒冷渦」という反時計回りの流れに引っ張られるようにして、どんどん進路を西に変更していきました。
台風発生当初は、寒冷渦がここまで大きな影響を及ぼすとは予想されていませんでした。
台風10号は沖縄近海で急発達しました。その要因のひとつが「海水温」です。
九州の南の海上のピンクの部分は海水温30℃超え。熱帯と同じぐらいです。
27日(火)から28日(水)ごろにかけて、海水温の高い海上を進んだことによって急発達しました。
台風は自ら動くことはできないので、周囲の風に流されて進んでいきますが、このとき高気圧や偏西風から離れてた所にポツンと取り残されたため、スピードを落として迷走することに。
九州の西、そして九州北部、瀬戸内・四国そして近畿の南を通って1日(日)正午に、ようやく東海に抜けて熱帯低気圧になりました。
東側の高気圧が少しでも西に張り出していれば、週末に東海や関東を襲った豪雨が近畿にも来ていたかもしれません。
複数の要因が重なった結果、影響が長期化したということになります。
きのう台風10号は熱帯低気圧に変わりましたが、その夜、フィリピンの東で新たな台風が発生しました。
この台風11号は現時点では大陸へ抜けていく予想で、本州への影響はなさそうですが、まだまだ日本近海の海水温は高い状況が続いています。
熱帯付近で台風の卵の卵ぐらいの雲がたくさんあり、台風に発達してもおかしくありません。
直近の気象台が出した3ヵ月予報でも、9月と10月は太平洋高気圧がこの東日本に張り出す予想で、南から来る台風だったり湿った空気が西日本に流れ込みやすいという予想が出ています。
9~10月が台風の本番になるかもしれません。まだあと2ヵ月ほどは警戒が緩められないという状況が続いていきますので、台風への備えを続けていただければと思います。
(『newsおかえり』2024年9月2日放送分より)