「台風10号」は「熱帯低気圧」に SNSでも話題…なぜ「温帯低気圧」ではない? 「熱帯低気圧」「温帯低気圧」の違いは?

AI要約

台風10号は熱帯低気圧へと変わり、大雨に警戒が必要。

台風と熱帯低気圧の違いは中心付近の風速。

温帯低気圧と熱帯低気圧の構造の違いについて詳細に解説。

「台風10号」は「熱帯低気圧」に SNSでも話題…なぜ「温帯低気圧」ではない? 「熱帯低気圧」「温帯低気圧」の違いは?

台風10号は1日正午、東海道沖で「熱帯低気圧」へと変わりました。熱帯低気圧に変わった後も、東日本を中心に、熱帯低気圧周辺の雨雲や太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気の流れ込みにより、大気の状態が非常に不安定となるため、大雨には警戒が必要です。

ただ今回、SNSなどでは「熱帯低気圧ではなく、温帯低気圧では?」という書き込みも多く見られました。熱帯低気圧と温帯低気圧は何が違うのでしょうか?

まず、台風と熱帯低気圧の違いについてです。

気圧の高低や低気圧の大きさで決まると思いがちですが、実は中心付近の風速の違いだけなんです。

最大風速が17.2メートル以上が台風で、17.2メートルに満たなければ熱帯低気圧と呼びます。

1日正午時点の最大風速は17.2メートルに満たなくなりましたので、「台風」から「熱帯低気圧」へと変わりました。

また、今回は「温帯低気圧」ではなく「熱帯低気圧」へ変わりました。なぜなのでしょうか?

こちらも熱帯エリアにある低気圧が「熱帯低気圧」で温帯エリアにある低気圧が「温帯低気圧」思いがちですが、実はこの2つ、低気圧の構造によって区別されているんです。

まず「温帯低気圧」とは、通常のニュースなどでも見聞きする低気圧のことで、日本付近にある低気圧のほとんどがこの「温帯低気圧」です。

北半球では赤道付近が暖かく、北極付近が寒いですが、南の暖気と北の寒気との温度差によってできるのがこの温帯低気圧です。温帯低気圧は暖気と寒気で構成されているんです。

一方、熱帯低気圧は暖気と寒気の温度差ではなく、海上の強い日差しで発生するんです。

海水が温められ大量の水蒸気が発生、上昇気流ができて渦が作られ、雲ができます。熱帯低気圧は暖気のみで構成されているんです。

なお温帯低気圧は前線を持つことがありますが、熱帯低気圧は前線はありません。

今回は、熱帯低気圧の構造、つまり暖かい空気で構成される形が保たれる予想となっているのです。

また温帯低気圧に変化した場合でも、かえって雨の範囲が拡大し、影響も広がる可能性もありますので注意が必要です。

石川博康 気象予報士