受精直後に特殊なDNA複製、染色体異常誘発か 理研がマウスで発見

AI要約

初期の胚の細胞内でのDNA複製方法が特殊であることが発見され、染色体異常の発生率が上昇する可能性が示唆されている。

遺伝情報を記録したゲノムDNAの複製が特定の段階で劇的に変化し、DNA複製が通常より遅い速度で行われることが明らかになった。

この研究結果は、生殖医療において新たな可能性を提供することが期待されている。

受精直後に特殊なDNA複製、染色体異常誘発か 理研がマウスで発見

 受精直後の胚(はい)(受精卵)が一つから二つ、二つから四つと分裂する初期の段階だけ、細胞内のDNAの複製方法が特殊であることを、理化学研究所や神戸大などのチームがマウスの実験で発見した。この影響で、八つへの分裂時に、染色体異常の発生率が跳ね上がることも判明。ヒトでも似た仕組みが備わっているとみており、生殖医療に生かせる可能性があるという。

 体細胞が分裂する前には、遺伝情報を記録したゲノムDNAの鎖も細胞内で2本に複製されて、二つの細胞に1本ずつ分配される。効率よく複製が進むように、DNAの鎖上で複製が始まる場所やタイミングが定まっていることが知られる。

 今回、研究チームがマウスで細胞分裂やDNA複製の様子を調べたところ、受精直後の1細胞(胚)から分裂する数日間だけ、特別な状態で複製が進むことがわかったという。

 具体的には、細胞数が1から2、2から4に増える段階のときだけ、DNAの鎖上で複製がスタートする場所が通常より5倍も多く、速度は30倍以上遅かった。8細胞以降は通常だった。